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SUVは「ちょっとモッコリしたワゴン」じゃなかった! アウトドアで露呈する「荷室の使い勝手」に潜む大きな差

SUVとワゴン

見た目だけじゃない違いがあった!

 アウトドアユースに人気のSUVと、荷物を運ぶことに優れたステーションワゴン。最低地上高や背の高さの違いぐらいしか違わないようにも思えるが、果たしてどうなのか? ここではアウトドアユースに欠かせないラゲッジスペースの使い勝手をクローズアップして、SUVとワゴンの両車の違いを掘り下げたい。

荷物の持ち上げやすさはワゴンが有利

 まず、ラゲッジスペースの開口部地上高に注目だ。もし、ラゲッジ容量がまったく同じだとしても、最低地上高を確保して車高も高いSUVのほうが開口部地上高は高くなる。SUVを例に挙げれば、ラゲッジスペースのフロア地上高はミッドサイズのトヨタRAV4:695mm、日産エクストレイル:730mm、スバル・フォレスター:730mm、三菱エクリプスクロス:760mm。

 もっとも新しい三菱アウトランダーPHEVに至っては、最新の世界的衝突安全性の基準もあって780mmと高い(先代は730mmだった)。コンパクトSUVのトヨタ・ライズ&ダイハツ・ロッキーでも700mm。トヨタ・カローラクロスは730mm、トヨタ・ヤリスクロスでも745mmと高めだ。

 一方ステーションワゴンになると、ラゲッジスペースの開口部地上高はホンダ・シャトルが540mm、スバル・レヴォーグが540mm、比較的高めのマツダ6ワゴン(旧アテンザワゴン)でも630mmだ。

 つまり、重い荷物の出し入れのしやすさでは、持ち上げ量の違いからステーションワゴンが有利ということになる。いや、荷物だけではない。大型犬などの愛犬をラゲッジスペースに乗せ下ろしさせるにしても、ステーションワゴンのラゲッジスペースの開口部地上高540mmは高すぎないから安全なのである。

愛犬も地面からの高さが低いほうを選んだ!

 ずいぶん前、同色で同じクルマのように見える2台、スバル・レガシィツーリングワゴンと、車高、最低地上高、ラゲッジスペースのフロア地上高が高いアウトバックを後ろ向きで並べ、バックドアを開けた状態でわが家の愛犬(当時)、ゴールデンレトリーバーのナナを2台の間から、ラゲッジスペースに乗るよう呼び寄せたことがある。すると、迷わずレガシィツーリングワゴンにまっしぐらだったことからも、犬でさえ、ラゲッジスペースのフロア地上高が低いほうが乗りやすそうで安心だということが一目瞭然だったのである。

 もちろん全高はほとんどが1550mm以内だから、SUVでは入れない全高1550mm以下制限の立体駐車場への入庫も、ステーションワゴンならOK。立体駐車場をよく利用する都市部のユーザーには、大きなメリットがある。車種によってはキャビンとラゲッジスペースを仕切るパーテーションネットが用意されているのも、ステーションワゴンの使い勝手を象徴する一面だろう。

荷物の積載容量はSUVのほうが上

 だが、ラゲッジスペースの容量という点では、むしろSUVのほうが有利なケースがある。つまり、車高をたっぷり取れるため、ラゲッジスペースの高さ=天井高にも余裕を持たせることができるというわけだ。ラゲッジスペースの天井高は、例えば新型アウトランダーPHEVは980mmもある(クラス最大)。

 とはいえ、RAV4などのミドルサイズSUVならラゲッジスペースの天井高は800mm前後だから、ステーションワゴンと変わらないという例もある。

 ステーションワゴンでもレヴォーグは770mm、大型ステーションワゴンのマツダ6が800mm、低床自慢のホンダ・シャトルなら835mm、働くクルマとしても大活躍しているトヨタ・プロボックス&サクシードに至っては850mmもあるから、高さのある荷物の積載力は、同ボディサイズのSUVよりステーションワゴンが勝っていることもあったりする。

自分にとって一番重要なポイントを見極めてチョイスしたい

 そうして見ていくと、SUVは悪路走破性にこだわらなければならず、最低地上高をたっぷり取っている。そのため、ラゲッジスペースのフロア地上高が高くなるわけで、軽い荷物ならともかく重い荷物の出し入れのしやすさ、持ち上げ量の小ささで言えば、ラゲッジスペースのフロア地上高が低いステーションワゴンが有利になるケースがほとんど言っていいだろう。

 もちろん、アウトドアフィールドにありがちな悪路の走破性では、SUVが有利であることは言うまでもない(ステーションワゴンの車高を上げた4WDモデルを含む)。SUVとステーションワゴンでは、走破性のメリットと、荷物の出し入れのしやすさ(ユーザーの身長によって条件は異なる)、愛犬家なら愛犬の乗り降りのしやすさのメリットを天秤にかける必要があるということだ。

 そしてもうひとつ、忘れてはいけないのが運転する際の乗車視界。SUVのほうが高いのは当然で、より爽快なドライブが楽しめるのと同時に、同じボディサイズであれば見晴らし視界はSUVほうが良好で、運転しやすく感じるはず。また、車高の高いSUVのほうが室内高に余裕があるケースがほとんどで、頭上方向のゆとりによる快適度で上まわることが多く、そのあたりもSUVかワゴンかの選択のポイントとなるだろう。

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