アウトドアやキャンプでミニバンを推すの理由とは
巷で人気のオートキャンプ。クルマを使ったキャンプスタイルはお手軽で快適だが、そのベストパートナーとなるクルマ選びに頭を悩ませている人も多いはず。キャンプ場で見かけるステーションワゴンやSUVはキャンプ場の風景にマッチし、とても素敵な存在に見え、スペースユーテリティに優れたミニバンは頼もしい存在に思えてしまう。ここではオートキャンプに最適なクルマを題材に検討してみたいと思う。
尖った趣味から誰もが楽しめるアクティビティになったキャンプ
キャンプとクルマは密接な関係にあり、最近では車中泊やオートキャンプがその中心になっている。バックパックに最低限のキャンプ道具を詰めて、尾根の縦走や全国行脚をする猛者も存在するが、比率としては少数派であり、多数派としてクルマを使ったキャンプスタイルを客観的に考えたとき、本当に買うべきクルマが見えてくるはずだ。
キャンプ好きといえどもキャンプ専用のセカンドカーとしてクルマを所有できる人はそう多くない。基本的には日常生活の延長線上にキャンプがあり、日々の暮らしが優先されるからだ。
キャンプとの親和性が高いステーションワゴン
オートキャンプのクルマ選びとして有力候補になる「ステーションワゴン」。大人の遊び心を刺激するワゴンスタイルは魅力的な存在だ。日常生活との共存を考えた場合、一般的なセダンの後部をラゲッジへと作り変えたステーションワゴンは魅力的だが、荷物の多いオートキャンプや車中泊では物足りなさが露呈してしまう。
乗用車の延長線上にあるステーションワゴンは、立体駐車場などの高さ制限がある場所でも苦労をすることはない一方、乗用車ライクな車内高では高さのある荷物を積むことができないからだ。
【ステーションワゴンのオススメ度を五段階評価!】
スタイル ★★★★★
積載能力 ★★★★
シートアレンジ ★★
車中泊の快適性 ★★
乗員人数 ★★★
SUVはキャンプでの映えは◎だが荷物の積載性は△
最近、勢力を伸ばしつつあるSUVやクロカン4WDモデル。「アウトドアを楽しんでます!」的なスタイルはとても刺激的で、その多くが4WDということもあり泥濘地や雪路で真価を発揮してくれる。しかし、冷静に考えてみるとオートキャンプ場へのアクセスで悪路を走る機会はそう多くはない。
アメリカの荒野やアフリカのサバンナを走破するのであればSUVやクロカン4WDの性能は大きな味方になるはずだが、舗装率の高い日本では“宝の持ち腐れ“の感は否めない。ラゲッジ性能としてはステーションワゴンと同等、または少し劣る車種が多く、車中泊に向いているかと聞かれれば言わずもがな……であろう。
【SUVのオススメ度を五段階評価!】
スタイル ★★★★★
積載能力 ★★★
シートアレンジ ★★★
車中泊の快適性 ★★
乗員人数 ★★★
RVブームで台頭したミニバンがアドバンテージに優れる!
時代の寵児ともいえるミニバンだが、そのルーツは1990年代に遡る。当時はMPV(マルチパーパスビークル)とも呼ばれ、快適性を与えられたレジャー用のクルマとして生まれた経緯を持つ。商用目的で開発されたキャブオーバーのハイエースやNV350もミニバンとしてひと括りにされることも多いが、実際には似て非なるものなのだ。
乗用車として生まれ、独自の進化を遂げた最新のミニバンは日常的な使用でも快適である。日常生活では高さ制限のない駐車場を選ばなければならないという弱点はあるものの、トールボディの恩恵は高さのある荷物を積むことにある。自転車や釣りなどの趣味を優先するキャンプでは大きな味方となり、車高の高さによる見切りの良さは長距離の移動での快適性にも貢献する。
最近では車中泊やキャンプを想定したシートアレンジが標準的となり、シートをフラットにすることで車中泊を気軽に楽しめるのも大きなアドバンテージだ。
【ミニバンのオススメ度を五段階評価!】
スタイル ★★★
積載能力 ★★★★★
シートアレンジ ★★★★★
車中泊の快適性 ★★★★★
乗員人数 ★★★★★
日常生活とキャンプを両立させるならミニバンがオススメ
今回はオートキャンプと車中泊の最適性ということで「ステーションワゴン」、「SUV」、「ミニバン」を考察した。もちろん、キャンプ用として存在するキャンピングカーがもっとも快適なのだが、日常とキャンプという非日常を両立させるという意味で除外している。現在、人気の高いキャンプに適したクルマ3つタイプを比較してみるとオートキャンプや車中泊を楽しむのであればミニバンに軍配が上がる。
ドライブの快適性、居住空間の充実、ラゲッジスペースの容量、シートアレンジによる車中泊への対応力、日常生活での使い勝手の良さを合わせ持つミニバン。これからオートキャンプを目指す人、オートキャンプをさらに充実させたいと願う人には最適な選択になるはずだ。
クルマ選びの基準は人それぞれであり決して強制するものでもない。好きなクルマを手に入れて楽しむことが最も健康的だが、オートキャンプや車中泊を楽しみたいのであれば「ミニバン一択」といっても過言ではない!