フォルクスワーゲン・シャラン
初出は2010年のジュネーブ・サロンと相当に長寿モデルだが、輸入車では貴重なスライドドアを採用したファミリー向けの7人乗りミニバン。度重なる装備仕様の追加や改良を続けつつ、2015年にフィイスリフトして「ゴルフ7」や「ポロ」に準ずる現代的なフロントマスクとなったが、「ゴルフ8」がデビューしたいまや、少し古さは隠せない。
しかも長らく1.8tを超える車重、ダウンサイジングターボの権化のような1.4Lエンジンの150ps/240~250N・mというアンダーパワーということもあり、燃費が辛いモデルだった。だが、2年前よりVWのアキレス腱であったディーゼルエンジンを導入し、2Lディーゼル177ps/380N・mとようやく他の欧州ディーゼルに肩を並べるまでに。長距離ツアラーというより、近郊ドライブ向きという意味でも、日本車に近い感覚で乗れる欧州ミニバンだ。
フォルクスワーゲン・ゴルフ・トゥーラン
2015年に現行型は登場。MQBプラットフォームに基づき、「ゴルフ7」をベースとする、いわゆる欧州Cセグのモノスペース。「シャラン」よりひと回り小さく、リヤドアは非スライドのスイングドアとなる。日本市場でも初期フェイズからACC(アダプティブクルーズコントロール)を採用し、初代より格段に広くなった室内に、2列目シートのスライド量も大きく、3列目シートへのアクセスがワンタッチで済むイージーエントリー機能を備えるなど、VWらしい実直な造りが際立つ。
1.4Lのダウンサイジングターボ1本槍で、走りの面でパンチに欠けるところは否めなかったが、シートヒーターやADASパッケージの充実を重ね、2018年に待望の2Lディーゼル150ps/340N・mを追加。欧州車のなかでも相当に地味な存在ながら、2020年には1.4Lから1.5Lへ、6速DSGが7速DSGになるなど、ある意味、地味で誠実な熟成を旨とする昔気質のドイツ車でもある。
メルセデス・ベンツVクラス(2代目W639)
現行は3代目だが直4・2.1~2.2Lディーゼル一本鎗で正式輸入される「W447」に比べ、SOHCのV6を軸に日本で初めて正式導入された先代の「W639」が「古典的なメルセデスらしさ」という意味では一枚上手ともいわれる。当初はVクラスでなく「VIANO(ビアノ)」という車名だった。ちなみに欧州市場においてバンは「VITO(ヴィト)」を名のった。日本でビアノは基本グレードの「トレンド」、装備の充実した「アンビエンテ」と同ロングがラインアップされた。
ロングボディならゆうに全長5mを超える体躯にも関わらず、ピッチやロールの少ない低重心のFRシャシーによるビシッと芯を感じさせる安定性やハンドリングに、熟成を重ねたV6の力強くスムースなフィールは、まさしくメルセデス・ウェイだった。後期フェイスではV6ユニットは3.2Lから3.5Lへとスープアップされ、ヘビーなキャンパーの絶大な支持を得るなど、キング・オブ・ミニバンに君臨した。今や2014年までの年式なら200万円アンダーがゴロゴロしている。