木のやさしい香りで風味アップして「映え」もバツグン
焼き網を囲んで薄切り肉をあぶりながら食べる「焼き肉」、弱火で数時間かけてブロック肉を加熱する「ロースト」など、ひとくちに「バーベキュー」といっても調理法も楽しみ方もさまざまだ。
5年ほど前より、厚手のミニ鉄板でじんわり食材に火を通す「鉄板焼き」が注目されているが、今年は鉄板のかわりに木の板を使う「ウッドプランク」に挑戦してはどうだろう。
杉板に食材を載せて調理する、古くて新しい「ウッドプランク」
自然素材を使うバーベキューといえば、古くから熱した石で肉を焼く「石焼き」が知られているが、水分を含んだ石を焼くと爆ぜる危険がある。それに油が染みた石の処分も大変だ。
「ウッドプランク」は石でも鉄板でもなく、杉板に食材を載せて加熱する。新しい調理法に見えるが、ネイティブアメリカンが杉板に載せたサケをあぶったものが発祥といわれていて、日本でも伝統的な「板焼き」という調理法がある。
北欧にも杉板にサーモンを打ちつけて焚き火であぶる「ロイムロヒ」という料理があり、クラフト作家であり野外料理家の長野修平さんに教えてもらった。無垢の野地板に、杉で作ったクギでサーモンを打ち付けている。古くて新しいバーベキューの楽しみ方なのだ。
ウッドプランクの手順1 杉板を水に浸す
まずは杉板を手に入れる。「ウェーバー」や「SOTO」などアウトドアブランドでも杉板が販売されているが、野地板など無塗装の杉板があればそれでいい。
もちろん、スモークチップなどに使われるサクラやクルミ、ヒッコリーのような板でもよく、杉板よりもコストがかかるものの、杉とはまた違う風味を楽しめる。いずれにせよ食材を載せるものなので無垢材を使おう。もちろん、自分で丸太を割ってウッドプランクを楽しむのも当然、あり。その場合は1cm以上の厚みに仕上げたい。
1時間以上(できればひと晩)水に浸した杉板をバーベキューグリルに載せ、両面を軽く温める。水の代わりに杉板を酒に浸してもよく、これで板が燃え上がるのを防ぐ。
ウッドプランクの手順2 食材を載せて弱火で焼く
好きな食材を杉板に載せて、ふたをして弱火でじっくり焼く。たったこれだけだ。肉はもちろん、魚や貝などスモークにあう食材ならなんでもいい。炭火にかけても、板は焦げて煙があがるものの、そうそう燃えはしない。
ふた付きグリルがない場合は、杉板ごと食材をアルミホイルでふたをし、熱と香りを閉じこめればいい。和食には2枚の杉板で食材を挟み、竹皮で包んで焼くという調理法があるのでアルミホイルで代用して挟み焼きにしてもよさそうだ。
ウッドプランクの手順3 そのままテーブルに出せる
焼き上がった肉は杉由来のほのかな香りをまとっているが、いつものスモークほど肉が固くならない。板の水分のおかげでしっとりしていて、どこかウォータースモークのよう。
焼き網に直接食材を載せて焼くよりも焦げにくく、鉄板料理とは違ってスモーキーな香りがつく。板に水分を含ませる時間が必要とはいえ、ほぼほったらかしで仕上がるし、板のままテーブルにサーブし、そのまま切り分けるという演出効果も高い。
使った板は、水洗いをしてよく乾燥させておけば数回使い回せる。真っ黒になったら焚き火にくべて終了だ。このあたりもキャンプ向き。無垢材が手に入ったら、試してみては。