満足度の高い輸入車買うなら7年落ちがキーワード
中古車選びは店選びとは昔からよくいったもので、欲しいクルマを探すよりも信頼できるお店を見つけることが重要だ。それだけに筆者が中古車を購入する相談を受けた際には、多少高くても自動車メーカー系列の中古車を選ぶことを勧めている。
とくに年々高度な電子化が図られているクルマはメンテナンスもさまざまなツールや知識が必要となり、安く買ったのは良いけれど、結局ディーラーのメンテナンス代で維持費が高額になるケースも多い。それゆえにボルト&ナットの時代、1980年代までのクルマのメンテのことを考えると、数は少なくなったが、職人メカニックがいる自動車修理店もまだまだ健在ゆえにお勧めできる。だが、中古車で出費を安く抑えたいのに維持費でお金がかかれば本末転倒。どうしても欲しい車両があるのであれば別だが、リスクは低いにこしたことはない。
いわゆる旧車であれば、部品さえ手に入れて直してくれる職人さえ見つければ(これも難しいのだが)、比較的安価に維持できる。リビルト品や海外から輸入するといったルートを持つ整備工場もあるうえ、ほかのクルマのパーツを加工して部品交換ではなくて修理をしてくれる達人はまだまだいるので、この場合は店選びよりも達人探しというべきか。
故障のリスクはゼロではないので個体選びはしっかり吟味する
だが、クルマ好きなら一度は考えたことがあるだろう。中古車情報誌や情報サイトで「あのクルマがこの値段で買えるのか!」ということを。7年と言えば、一般的にフルモデルチェンジの周期であることが多く、つまり一世代前のモデルであれば、新車価格では逆立ちしても手が出なかった憧れのプレミアムカーでも手が届くようになることも。さらに故障やトラブルのリスクが低いこともオススメするポイントである。
とはいえ、新車保証期間に加えて延長保証期間も終了している可能性が高く、お勧めではあるが絶対安心とは言えないため、中古車を探す場合は、旧車同様に個体のチェックは怠らないようにしたい。
値落ち幅が大きいのは欧州プレミアムブランドの高級サルーン
まずプレミアムブランドの中古車では、高級であればあるほど中古車になるとお買い得に感じるものだ。一部の限定車やスーパーカー、スポーツカーを除いたオーソドックスなセダンは、新車価格が1000万円オーバーでも値落ち幅が非常に大きい。
これらは1000万円以上のクルマを購入して維持できるオーナーが乗っていた車両であり、その方々は次に買い替えるときも同じクラス、またはさらにアッパーなモデルを購入するため、中古車市場に出まわる個体は比較的多い。もちろん、1000万円のクルマを買える人が次に中古車を選ぶことは余程の事情がない限り少なく、自ずと値落ち幅は大きくなり中古車価格は安くなる。メルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズ、ジャガーXJあたりがこれに相当する。
これらは登録から数年経とうものなら、新車時の2分の1、走行距離が嵩んでいればさらに3分の1の価格になることは珍しくなくお買い得ともいえる。だが2000万円のクルマが3分の1になったとしても500万円以上であり、購入できる人は限られるだろう。
D&Eセグメントモデルでも低予算で高級感が味わえる
ただ、それでは夢がないので狙うのはミドルクラス一択だ。メルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズ、もしくはなぜか日本では人気がイマイチなゴルフ以外のフォルクスワーゲンのモデルだ。パサートもアルテオンもフォルクスワーゲンらしい国民車の名に恥じない走りの質を持っているのに、ゴルフに人気が集中しがちで、つまるところニーズが高くない。アルテオンはまだ現行モデル(2017年発売)なのでお得感は低いが、今後注目の車種として挙げておきたい。
また、少し王道から外れたモデル、例えばBMW6シリーズや4シリーズなどのドイツのクーペ系も面白い。筆者は逆に少し背の高い5シリーズGT(グランツーリスモ)の認定中古車に注目していたのだが、新車の販売台数が少なかったのか、めぼしい中古車は少なかった。
ちなみにメルセデス・ベンツやBMW、アウディ&フォルクスワーゲンも、知らない方から見れば全部同じ輸入車。トラブルの傾向は微妙に異なるのだが、これは新車から数年後の話。中古車の場合はどこまでメンテナンスされていたかが重要なので、記録簿のチェックは忘れずに。
価格重視なら人気薄なアメ車がイチオシ!
そして意外にも見逃しがちなのがアメ車だ。近年はジープブランドが飛躍的に人気を高めているが、SUV系は世界的に価格が高値水準なのでお買い得感は薄い。ちなみに欧州の高値代表はメルセデス・ベンツGクラスだが、BMWのX系はそれほどでもないので狙い目と言える。
セダンでは昔ながらのアメ車のイメージが強いのか、欧州プレミアムモデルと比べて人気は高くない。ただ、じつは走りも装備も燃費も一級品で、フォードが日本から撤退してしまったのはいささか残念だったが、日本にはキャデラックがある。昔の大きくて燃費の悪いモデルのイメージが強いのは仕方がないが、現在のキャデラックはかなりの実力派で、ドイツ車と比べても見劣りはしない。
もっともコンパクトな部類に入るDセグメントのATSであれば、7年落ちの2015年モデルで100万円台の個体もあり、排気量も2Lと国産車並であることから、購入後のランニングコストも抑えることができるメリットは大きい。