高価なパーツでも使用期限はやってくる……
マフラーや車高調に代表されるチューニングパーツ。できるだけ長く使い続けたいのは誰もが一緒だけど、多かれ少なかれ経年劣化することは避けられない。果たして食品のような『消費期限』は存在するのか、あるとすれば目安になる時期はいつか調べてみた。
車高調に厳密な期限はなく使用環境で変わる
まずは「抜けたからもう使えない」なんてセリフを耳にする車高調。結論からいうと永久に使えることはなく、その期限もケース・バイ・ケースとなる。しかし「使い方次第」じゃあまりに不親切と思われるので、おおよその時期や判断の材料となる症状を挙げてみよう。
メインが街乗りで頻繁にサーキットを走ったりせず、品質の確かなメーカーが販売している商品であれば、5年もしくは5万kmくらいが寿命の目安のひとつと考えていいだろう。ただし距離や年数が増えるごとに劣化は進んでいき、性能が突然100から0に落ちるワケではない。新品のときから明らかに乗り心地が悪くなったと感じたり、異音の発生など気になる症状が出たら早め早めに対応するべきだ。
視覚的にわかりやすい症状としてはダンパーからのオイル漏れ、ピストンロッド表面の傷やゴムブッシュの亀裂が挙げられる。いずれも放置すると本来の性能を発揮できないばかりか、さらに大きなトラブルに繋がる可能性もあるので要注意。
なお、品質の悪い製品やラフすぎる使い方をすれば数カ月でダンパーが抜けてしまったり、サーキットで縁石に変な乗り方をするとそれだけでロッドが曲がる可能性もある。心配なら定期的にタイヤを外してダメージがないか確認したり、判断が難しければ足まわりに詳しいプロショップの力を借りよう。また、有名メーカーならオーバーホールに対応していることもあるので、そちらを検討するのもアリだ。
マフラーは街乗りのみの丁寧な使い方なら10年以上使える
次も定番メニューのひとつであるマフラー。金属だし車高調のようにオイルを使ってもいないが、最大の敵は錆とサイレンサー内にある消音剤の劣化だ。ステンレスとはいえ汚れや傷から錆は発生するし、放置していれば腐食がどんどん進行してしまう。とくに融雪剤は塩化ナトリウムや塩化カルシウムを原料としており、マフラーを中心とした下まわりに付着し、錆の原因となるのだ。
消費期限はこれまたケース・バイ・ケースだが、雪の多い地域は別として一般的な使い方であり、ステンレス製なら5年は大丈夫だと思われる。新品の保証でも、3年6万km以内と設定しているメーカーもある。マメに下まわりを洗浄していたり車庫保管ならもっと寿命は伸びるだろうし、消音剤も高回転域を多用し排気系が高温になるサーキットが日常じゃなければ、そうカンタンに焼けて保安基準をパスできないレベルの爆音になることも考えにくい。環境次第で5年どころか10年15年と使える可能性が十分にある。
エアクリーナーのフィルターはライフサイクル短め
最後は空気の入り口であるエアクリーナー。純正は自動車メーカーが3万kmや5万kmと推奨しているが、いわゆる剥き出しタイプの社外品はどれくらいだろうか。いくつか例を挙げると、HKSは乾式フィルターなら6~12カ月または6000~1万km。湿式フィルターはもっと短く3~6カ月もしくは3000~5000kmと明記している。同じくブリッツは大多数のエアクリーナーが5000kmとされており、吸入効率や濾過性能の高さとトレードオフにライフは短いようだ。
いずれにせよ純正品であろうと社外品であろうと、性能を永遠に維持し続けるパーツなんて存在しない。正しいオーバーホールや交換のタイミングを見極め、安心かつ楽しく愛車をカスタムしてほしい。