世界のオークションにおける価格動向で見る現在の価値
いつの時代でも、スーパーカーは普通の乗用車などよりも高価であると相場が決まっているが、ここ数年の間に巻き起こった趣味車ブームの影響で、高性能車の流通価格も軒並み高騰している。1970年代後半に日本を席巻したスーパーカーブームの主役たちも、一時期とんでもないプライスで流通していた。
ナナサンカレラは一時期より相場が落ち着いている
その一例を挙げると、ジョージア州アトランタで2018年10月27日に行われた「RMサザビーズ THE PORSCHE 70TH ANNIVERSARY AUCTION」において、ボディカラーがホワイト/グリーン・ストライプの1973 Porsche 911 Carrera RS 2.7 Lightweightが102万2500ドルで落札されたのだ。1ドル:114円で換算すると、1億1656万5000円である。
同じオークションではオレンジ色の1973 Porsche 911 Carrera RS 2.7 Prototypeも落札されたが、こちらは、さらにレアなモデルであったこともあり、動いた金額は132万5000ドル(1ドル:114円で換算すると、1億5105万円)であった。
しかし、である。どうやら往年のスーパーカーを対象としたオークションで1~2億といったスゴイ金額が飛び交う威勢のいい取引は、RMサザビーズでも少なくなったようだ。2021年9月17日のスイス・サンモリッツでは、1973 Porsche 911 Carrera RS 2.7 Touringが51万1250スイス・フランで落札された。1スイス・フラン:125円で換算すると6390万6250円だ。
2018年に1億オーバーだったナナサンカレラRSは、ライトウェイトだったり、プロトタイプだったりしたので、昨年サンモリッツで落札された素のナナサンカレラRSのプライスと単純に比較することはできないが、空冷911シリーズの価格は少しばかり落ち着いてきたのかもしれない。以前から買いたいと思っていた層には、朗報ということになるだろう。
そのほかの名車たちの相場は?
ランボルギーニ・カウンタック LP400
スーパーカーブームを経験した世代が、つねに気にしているそのほかのモデルの“ここ最近の落札金額”もピックアップしてみた。まずはランボルギーニ・カウンタック LP400。
2021年11月19日にフランスのル・カステレで行われたRMサザビーズの「THE GUIKAS COLLECTION」では、ブラックの1975 Lamborghini Countach LP400 ‘Periscopio’ by Bertoneが90万5000ユーロで落札された。1ユーロ:129円で換算すると1億1674万5000円。これは、なかなかの金額なので、カウンタック LP400は高値のまま推移していくのかもしれない。
フェラーリ365 GT4 BB
続いて、スーパーカーブーム全盛時から今日に至るまで、ずっとカウンタック LP400のライバルとして語られているフェラーリ365 GT4 BB。こちらも2021年11月19日にフランスのル・カステレで行われたRMサザビーズの「THE GUIKAS COLLECTION」において、シルバー/ブラックの1974 Ferrari 365 GT4 BBが落札された。
このときの金額は35万3750ユーロで、1ユーロ:129円で換算すると4563万3750円であった。おそらく日本で流通している売り物のプライスよりも安いと思うが、フランスから365 GT4 BBを持ってきて、極東の島国で難なく乗れるように各部をきっちり仕上げると、それなりのコストがかかることを知っておく必要があるだろう。