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6代目で「先祖返り」も当然の偉大さ! 初代ステップワゴンの「すごい」ところ

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TEXT: 佐藤幹郎  PHOTO: 本田技研工業

車中泊できるほどの便利で快適な装備も充実

 そしてインテリアも非常にシンプルでわかりやすいものだった。これをデザインの放棄ととるか、機能性の追求ととるのかは意見が分かれるが、まるでブロックを積み上げて構成したかのような作りで、四角い箱を組み合わせたような形状は使い勝手に優れていた。

 運転席周り、ステアリングやメーターパネルは一般的だが、センターコンソールは同じ高さにオーディオとカーナビが備わり、その下にエアコンの吹き出し口、そして一度温度設定をしたら触ることが少ないエアコン操作パネルをその下に添えて、灰皿と同時使用が可能なドリンクホルダーを配置していた。

ステップワゴンのインパネ

 また助手席側には飲食に使いやすいトレイ付きのボックスとグローブボックスでファミリーカーらしさを加えたほかに、前席ドアにはダブルポケット、後席にもドリンクホルダーを備えて乗員の使い勝手にも配慮。さらに2・3列目の各シート上にも照明を備えたうえに、荷室にはカーゴフックを用意して、まさに現在の箱型ミニバンの礎といってよい充実の装備を誇っていた。初代ステップワゴンのグローブボックス

 当時、このインストルメントパネルの形状は、「簡単に左ハンドル仕様を作るためのコストダウンを考慮した形状にした」と説明された記憶があるが、見事な機能性だと思う。結果的に5ナンバーサイズの箱型ミニバンが海外で人気を集めることはないのだが、こういうコストダウンもあるのだと感心したものである。

便利なスライドアは安全性への配慮で左側だけに採用

 家族を乗せるクルマとして開発された、新しいファミリーカーのスタイルであるステップワゴンは、快適性を基本性能から支えるために高剛性のストレートラダーフレームを用いたモノコックボディを採用した。ねじり剛性のを高めるよう、クロスメンバーや開口部の強度確保のためにレインフォースメントを用いて剛性を確保。吸音材なども多用して、振動や騒音に不利な箱型ボディであっても乗用車的になるような部材がおごられていた。スライドドアも助手席側のみの設定なのでボディ剛性向上に寄与するほか、まだスライドドアが大多数ではない時代に、縦列駐車で子どもが急に飛び出してくるなどの危険も排除することができた。初代ステップワゴンの高剛性ボディ

 また、パワーステアリングも余裕を持たせた設計のうえに、エアコンも2・3列目にも配慮した後席優先のヒーターモードも設定して、3列目シートの快適性も追求。新時代のファミリーカーらしい快適性が備わっていた。

2L直4DOHCを搭載してホンダらしい走りにも抜かりなし

 エンジンは2LのB20B型直4DOHC。内径×行程が84.0mm×89.0mmのロングストロークながら最高出力125ps/5500rpm、最大トルク18.5kg-m/4200rpmと、現在のミニバンとしては高回転過ぎるのでは? と思う内容である。当時のホンダ自慢の電子制御式ATのプロスマチック2と相まって、不満のない動力性能を発揮。初代ステップワゴンのコラムシフト

 また、フロントがストラット式、リヤはホンダがインホイール式と呼ぶロアアームをホイール径内に配置したダブルウィッシュボーン式サスペンションで、低圧ガス封入のプログレッシブダンパーを採用。これで十分だよね、といえる走行性能を備えた。

2度のM/Cに加えて個性的な特別仕様車も続々と登場

 そして発売開始から一年後には毎月1万台以上売れたことでマイナーチェンジを実施。樹脂部品をはじめとした外観の変更と全車にABSと前席エアバッグが標準装備化された。

 1997年にはシート昇降装置付き介護仕様の「アルマス」を追加したほか、1997年末には全身真っ白でUVカットガラスなどを備えた特別仕様車の「ホワイティ」も発売。1998年にはキャンプに適したポップアップルーフ付きの「フィールドデッキ」をリリースするなど、その勢いは止まらなかった。このフィールドデッキは、ホンダ特装株式会社が手掛けるFRP製のルーフが特徴のモデルで、ルーフ内に大人ふたりが就寝できるスペースを確保。キャンパーにはうってつけのモデルであった。初代ステップワゴン・フィールドデッキ

 その後も、特別仕様車の「デラクシー」(1998年発売)。1999年には再度のマイナーチェンジで、スタイリングの変更に合わせてバンパーなどもすべてボディ同色に変更した。衝突安全性能の向上やトランスミッションの仕様変更、エンジンは最高出力を10ps高めた135psとしたほか、待望のエアロ仕様「スピーディ」も追加されて商品力を高める。

 その後も特別仕様車「ウルトラ」(2000年発売)を設定して、CD/MDプレイヤーを備えたうえにスライドドアのイージークローザーなども加えて発売。その前後もいくつかの仕様変更や特別仕様車を経て、2001年4月に2代目へと切り替わる。初代ステップワゴン・スピーディ

 こうしてステップワゴンは発売当初からヒットモデルとなって、それこそシビックやアコードよりもステップワゴンの方がホンダらしいと感じる年代もいるかと思う。だが、じつは「バイクも積めるホンダ車を作りたい」というホンダ社員の願いが込められたファミリーカーだったのかもしれない。経緯は何でもよい。初代ステップワゴンは、5ナンバーサイズの箱型ミニバンを切り開いた。それだけは間違いはない。

■ホンダ・ステップワゴン主要諸元(グレード:W/FF/RF1型)
〇全長×全幅×全高:4605mm×1695mm×1830mm
〇ホイールベース:2800mm
〇トレッド 前/後:1485mm/1480mm
〇車両重量:1460kg
〇乗車定員:8名
〇エンジン: B20B型/直列4気筒DOHC
〇総排気量:19726cc
〇最高出力:125ps/5500rpm
〇最大トルク:18.5kg-m/4200rpm
〇サスペンション 前/後:ストラット式/ダブルウィッシュボーン式
〇ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク(ドラム駐車ブレーキ)
〇タイヤサイズ 前後:195/65R15
〇新車時発売価格(税別):214万8000円(東京地区)

12
  • 初代ステップワゴンの高剛性ボディ
  • 初代ステップワゴンの荷室
  • 初代ステップワゴン・アルマス
  • 初代ステップワゴン・フィールドデッキ
  • 初代ステップワゴン
  • ステップワゴンのフロントマスク
  • 初代ステップワゴンのシートアレンジ
  • 初代ステップワゴンのグローブボックス
  • 初代ステップワゴンの2列目ドリンクホルダー
  • 初代ステップワゴンのコラムシフト
  • 初代ステップワゴン(RF1型)
  • 初代ステップワゴン(リヤスタイル)
  • ステップワゴンのインパネ
  • 初代ステップワゴン・スピーディ
  • 初代ステップワゴンのインテリア
  • 新型ステップワゴン
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