アウトドアでも畳に布団の純和風スタイルで爆睡しよう
畳とアウトドアの歴史は古い。茶道の世界では千利休の時代から「野点(のだて)」といって屋外でお茶を楽しむスタイルがあり、例えば1587年に豊臣秀吉が主催した京都・北野の森の大茶会(北野大茶湯)でも、参加者それぞれの座敷は「畳二畳敷きが基本」とされていた。
アウトドアブームといわれる昨今、夏場のキャンプや海水浴に「ござ」を持っていって涼しく過ごしている人も多い。ならばその進化形として、屋外でも家と同様のくつろぎ感を求めて「畳」で寝ることができないものか? クラシックな「フォルクスワーゲン・タイプ2」、通称「ワーゲンバス」を畳敷きの車中泊カーにカスタムしたケースをご紹介しよう。
畳の職人がクルマに合わせてオーダーメイド
こちらのワーゲンバスは1966年式で、2021年11月に開催されたクラシック・フォルクスワーゲンのイベント「ストリートVWsジャンボリー」会場でお披露目された。
茨城県稲敷市江戸崎にある創業60年の「山口畳店」店主、山口康行さんはクルマとキャンプが趣味で、「車中泊とかキャンプに畳があってもいいんじゃない?」と思っていたのだそう。そんな折に、このワーゲンバスのオーナーの知人から「畳を敷いて和風の車中泊仕様に」とリクエストされ、クルマのサイズや室内の燃料パイプなど突起に合わせて畳を製作したというわけだ。
畳の厚さはノーマルの半分で取り扱いカンタン
ワーゲンバスの場合、エンジンルームが車体後部に配置されているため、ノーマルタイプの車中泊用ベッドキットを搭載する場合も、床面は高くなる。そのため、今回のワーゲンバス用の畳は通常の半分の厚さとして、室内の頭上高を少しでも広く確保できるように仕立てられている。
また、畳の厚さが半分ということは重さも半分なので、女性でも扱いやすく、クルマへの設置や取り外しがカンタンというメリットも大きな特徴。キャンプ場で地面の上にシートでも広げて、そこに畳を移動して和風ピクニックや「野点」としゃれこむのも楽しそうだ。
もちろん通常の厚さでのオーダーも可能とのことなので、室内高に余裕のあるクルマに敷きっぱなしを想定する場合は、より厚い畳で寝心地をさらに追求するのもいいだろう。