ステップ高も低く開口部も広いスペーシア
最後は、高齢者施設でも使われていることがあるスーパーハイト系軽自動車である。ここでは日産ルークス、三菱eKスペース、ホンダN-BOX、スズキ・スペーシア、ダイハツ・タントという超人気モデルが揃っている。このなかで、高齢者に適しているのがどれかと言えば、スペーシアが筆頭に挙がる。
まず、スライドドア部分のステップ高は345mmと低く、フロアへの段差なし(ルークス&eKスペース360mm、ステップワゴン360mm、タント370mm)。スライドドア開口部の高さもまた1250mmと、N-BOXの1240mm、ルークス&eKスペースの1235mm、タントの1200mmを上まわるからである。
また、スペーシアの後席ヒール段差は360mm。ルークス&eKスペースの380mmには敵わないものの、タントの360mmと同じで、N-BOXの355mmを上まわる。ヒール段差が360mmあれば、かなり座りやすく立ち上がりやすいとも言えるのだ。ただし、1月24日現在、日産ルークスと三菱eKスペースは生産を一時停止中だ。
というわけで、ミニバンでは新型ノア&ヴォクシー、プチバンならソリオ、軽自動車ではスペーシアが、高齢者フレンドリーなクルマとして、筆者の独断で推薦できる3台となる。と、ここでそうした両側スライドドアと後席スライド機構を備えたクルマに高齢者を乗降させるときの注意点をひとつだけお話しておきたい。
実際に筆者の母親を介護していたときに気がついたのだが、後席のスライド位置がポイントになる。足元を広くしようとしてシートを最後端位置にセットしてしまうと、かえってスライドドアの開口部から着座位置が遠くなってしまい、座りにくく、降りにくくなってしまうのだ。最前端スライド位置だとこれまた座りにくく、降りにくくなるから、高齢者それぞれの乗り降りのしやすさに合わせた、中間スライド位置を決めていただきたい。おそらく、高齢者=乗員の体の中心が、スライドドア開口部に向き合うようなシート位置がベストと思われる。
なお、ハンズフリーでパワースライドドアを開閉できると、高齢者を乗降させるためにバタバタしている場面でより便利。新型ノア&ヴォクシーのほか、日産ルークス、ホンダN-BOXなどにオプションとして用意されている。