ヘッドライトの材質が変わったため不要になった
サーキットを走る前のルーティーン。クルマから荷物を下ろしてタイヤの空気圧をチェック、ゼッケンを貼ったりタイム計測器を取り付けたり……。以前はそれらと併せて当たり前のように行っていたが、最近はほとんど見かけなくなったのが灯火類のテーピングだ。
テーピングする理由はクラッシュによる飛散を防ぐため
昔から走行会に参加している人なら誰もがご存知のとおり、テーピングする理由はクラッシュによる破損部品の飛散を防ぐため。鋭利な破片をほかのクルマが踏めばバーストなどの二次災害を引き起こしてしまい、またコース清掃に時間がかかれば、自分たち以外の走行枠にまで影響を及ぼす。
粉々に割れたガラスがいかに危ないかはあらためて説明するまでもないはず。つまり「他人に迷惑をかけないためのマナー」というワケだ。ところが1990年代の後半になるとヘッドライトなどの材質が、従来のガラスから樹脂のひとつであるポリカーボネイトに移り変わった。
クラッシュしてもガラスより破片が細かくならず、断面もさほど鋭利じゃないため危険性が大幅に低下。昔は走行前のブリーフィングでほぼ確実に説明されていたし、忘れるとコースインさせてもらえないケースも多かったが、現在は旧車や一部のドライバーが自主的に行なっている程度だ。
最近はガラス製じゃない限り必須ではない
ちなみに飛散しないよう配慮しての結果だとは思うが、テーピングの面積が広すぎて灯火類の作動が確認しにくい、なんて本末転倒になりかねないクルマも少なからずいた。サーキットやイベントの主催者に最新のテーピング事情を聞いてみると、ほとんどは「ガラス製じゃない限り必須ではありません」とのこと。
ただし接触の可能性が高いレース形式に限っては今も必要だったり、規則がずっと変わっておらずテーピングを求められる場合もある。いずれにせよビニールテープは出番が多いアイテムなので、クルマや工具箱に常備しておくに越したことはないはずだ。
もしもテーピングするときの注意点
では最後にテーピングする際の注意点をいくつか。もっとも大切なことは上でも述べた、外部から灯火類の作動が視認できること。ヘッドライトやブレーキランプなどの全面を覆わないことは当然として、可能であれば色付きじゃなく透明のテープを使えばもっと安全になる。
もうひとつはテープの両端を灯火類に隣接する部分、つまりボディまで伸ばしてシッカリ貼り付けること。そうしないと飛散防止にはほとんど効果がない。あとは走行中にテープが剥がれて飛ばないよう、貼る部分の汚れや油分を拭き取ることも忘れずに。
なおテープは2本をズラして重ね貼りすれば、粘着力が高まって剥がれる可能性が低くなる。テーピングは大半の車種で必須じゃなくなったが、だからといって完全に無意味ということでもない。念には念を入れて走行したい人は、ココで挙げた3つの注意点を守って確実なテーピングを!