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フツーの会社員が「フェラーリ」や「ランボルギーニ」を買えた時代があった! 庶民オーナーが見た世界とは

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TEXT: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)  PHOTO: 高桑秀典

20年以上も大事に乗っている「512BB」

 1980年式の「フェラーリ512BB」をパートナーとしてスーパーカーライフを満喫しているNさん(現在56歳)が愛車を購入した経緯はこうだ。「スーパーカーブームのときに“512BB”がパリ・サロンに展示されたという記事が載っている自動車雑誌を買いに行ったんです。当時11歳でした。現在愛用している512BBを買うまで、ずっと愛読していました。ノンレストア車なので、すべてのパーツがマッチングしています。マフラーもホイールも純正品。ホイールのスピンナーは、イベント時などに3本爪のモノに交換しています」

 笑顔でそう語ってくれたNさんは、34歳のときに「512BB」を現金一括で購入した。12年前に「フェラーリ・クラシケ」(公式の鑑定書)を取るタイミングで、一年間かけてオールペイントした愛車への思い入れの強さはハンパなものではなく、毎年きっちり整備し、いつでも、どこにでも出かけられるようにしている。

スーパーカーでサーキット走行を楽しむ人も

「サーキットの狼」ファンが手に入れた「ディーノ」

 1971年式の「ディーノ246GT Mタイプ」を愛用しているAさん(現在50代)は、フェラーリ308GTBと308GTS QVを愛用しつつ、ディーノを増車した。「知り合いの仲介でディーノを見に行き、その場で買おうと思いました。ディーノはスーパーカーブームのときに一番好きなクルマだったんです。当時愛読していた漫画“サーキットの狼”の世界でもディーノRSはとくに印象的な存在でした。実際に購入してみてわかったのですが、ディーノというクルマは、よく走って、意外に速い、ひと通りの整備をきちんとすれば簡単には壊れないスーパーカーでした」とは、Aさんの言葉だ。

 30代の半ばごろにポルシェ930ターボを購入し、いまから14年ほど前にディーノを購入。「1960~70年代に生産された魅力的なスーパーカーを揃え、それらをガレージ内に並べられたら最高ですね。“930ターボ”、“カウンタック”、“512BB”、“ミウラ”などを揃えたいです」とも語ってくれたAさんは、人生を楽しむ術を知っている好事家である。

フェラーリではないけど最もフェラーリらしいクルマ「ディーノ」

投機目的で高騰しているのも悪いことばかりではない

 思い焦がれてフェラーリやランボルギーニなどを買う人がいる一方で、余ったお金を使い、投機目的でスーパーカーを購入する人たちがいることも忘れてはならない。富裕層である彼らは資産運用のひとつとしてスーパーカーを買うので、実際に乗ることはなく、数年後に値上がりしたときを見極めて売却する。

カウンタックはどこでも憧れの的

 クルマというよりも美術品と同じような感覚でサクッとゲットしているので、そういう扱いになってしまうのだが、われわれのようなクルマ好きが彼らの手に渡ったスーパーカーを拝見できないのは悲しいことだ。世界的なオークションハウスとして知られる「サザビーズ」におけるスーパーカーの落札金額をチェックすると、以前よりも落ち着いてきたように思える。だが、いまだに高価で流通しているモデルがたくさんあるので、まだまだ投機目的での購入も盛んに行われるはずだ。

 レアなスーパーカーが投機目的で買われたとしても、次のオーナーのもとで世に出てくることになれば万事OKではある。なので、貴重なモデルを日本でキープできるように富裕層の方々に今後も頑張ってもらおう。

貴重なスーパーカーが未来に引き継がれればOK

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  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 本業はフリーランスのライター兼エディター。1998年に買ったアルファ ロメオGT1600ジュニア(通称:水色号)を現在も愛用しており、すでに総走行距離が30万8000kmオーバーとなっている(2022年4月中旬現在)。クラシックカーラリーに水色号で参戦取材することがライフワーク(?)となっており、群馬をホームタウンとして開催されている「スプレンドーレ」では、柴犬を“ワン・コドライバー”、秋田犬を総監督として挑んでいる。全国各地に水色号でお邪魔しているので、これからも走行距離が順調に伸びる予定。
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