クルマの程度はボディまわりとメカまわりのふたつに分かれる
新車でも厳密に言えばあるのが程度の差。新車の場合は当たり外れということになるだろうが、中古車となると一物一価で、それまでの保管の仕方や乗り方、メンテナンスによって状態が異なってくる。最近のクルマならそれほど差はないので、よほどひどいことになっていなければとくに問題はないだろう。問題は旧車も含めた古いクルマだ。
古いクルマに乗っていると声をよく掛けられるのだが、言われるのが「程度いいねえ」という言葉。気分は悪くないので毒づきはしないが、内心は「パッと見でなにがわかるというのだ?」と思ったりする。要は、ボディがピカピカしていればなんでも程度がいいということになる。
まぁ、言う方も真剣ではなく、世間話程度で社交辞令みたいなものなんだろうが。とはいえ、程度ってなんだろうと考えみると、大きく、ボディまわりとメカまわりのふたつに分かれるように思う。
ボディがピカピカ真の程度があるというわけではない
まずボディは確かにピカピカしているのは大前提だろうが、ただそこに真の程度があるわけではない。やはり真の程度は奥の奥、裏の裏まで腐食やサビがないこと。見えないところが腐食などしているというのは外観上関係ないだろうが、剛性などは落ちるのでシャッキリしない。
ただ、言い出したらキリがないこともあるし、車種によっては腐食していないクルマはないと言われるほどのウイークポイント的なところはあるが、そうなるとさすがに例外ではある。ちなみにカプチーノのリヤバルクヘッド裏側やパオのスペアタイヤスペースなどはお馴染みだ。
メカの程度はストレスや違和感なく走れるかだろう
そしてメカの程度となると、やはり調子がいいか悪いかに尽きる。ひと口に調子がいいと言っても、エンジンならきれいに吹けるか、異音がないか。燃費が極端に悪くなっていないか。ミッションなら入りやショック、足まわりであれば異音やガタつきなどで、ストレスや違和感なく走れるかだろう。メカの場合は測定ができる部分もあるのが特徴で、シリンダーの圧縮は測定でき、摩耗して抜け気味なら程度はあまり良くないことが数値からわかる。
究極なことを言ってしまうと程度なんて各部をチェックしないとわからないということになる。冒頭のピカピカだから程度よしというわけではないが、雰囲気でわかる場合はあるにはある。いわゆる佇まいで、奥底の程度が悪いと全体の雰囲気がなんとなく、違和感があったりする。
また、見た目はくたびれていても、悪くはないと感じることもあったりする。人間でもそうだが、歳を取った年配でも運動をしたりして健康だと、元気で雰囲気もシャキッとしているし、古い家や神社仏閣も手入れが行き届いていれば古くても、細かいところは不具合があっても、状態はよく感じるのと同じ。
クルマの場合は定期的に乗って、エンジンもしっかりと回してやったり、基本メンテはしっかりと行ってやるだけで、古くても程度のよさが感じられるし、維持できるだろう。博物館の程度と、実生活での程度の差と言ったらいいだろうか。日常面での程度のよさというのは、決して過保護というわけではない。