フィアットのシャシーにオリジナルボディを架装したFiat Abarth 1300 Scorpione:偏差値80
ここからは、フィアットをベースとしながらも使用するのはシャシーのみ。ボディはカロッツェリアに依頼していたので、ベースとなったフィアットとはルックスがまったく異なるモデルとなり、偏差値も一気に高まります。
まずは1968年に登場したFiat Abarth 1300 Scorpioneから。基本パッケージから紹介しておくと、フィアット850のシャシーを改造。フィアット124用をボアアップし1197ccから1280ccにまで排気量を拡大した直4OHVエンジンを搭載するロードゴーイング仕様のGT、ということになります。
前後のサスペンションは横置きリーフで吊ったウィッシュボーン/コイルで吊ったトレーリングアームの4輪独立懸架で、ブレーキは4輪ドラムとフィアット850と基本的には共通。ただし、ホイールベースは15mm延長されていました。
1280ccにまで排気量が拡大されたエンジンは、ベースの124(60ps)に対して15psだけパワーアップされていました。ただし、コスト面を重視したのか、124シリーズのスポルトクーペ/スポルトスパイダーに搭載された125用の1438ccの直4ツインカム(90ps)を搭載していれば、と思わずにはいられません。
もっとも、のちにパワーアップしたSやSSも登場していたようで、余計なお世話ということかもしれません。こちらの難易度はぐっと高まって、偏差値80といったところでしょうか。
ベルトーネがスパイダーとクーペを手掛けたAbarth 750 Bertone:偏差値90
最後に用意したモデルは難解度MAXな1台、Abarth 750 Bertoneです。アバルトとベルトーネのジョイントワークとしてはスピード記録挑戦車が有名ですが、こちらは1956年にリリースされたロードゴーイングカーです。
クーペが初春のジュネーブショーでお披露目され、続いてスパイダーがフィアットやアバルトの本拠地であるトリノショーで登場しています。フィアット600から流用したシャシーに、ベルトーネが2ドアのクーペ&スパイダーと2種のボディを架装。
デザインを担当したのは2台ともに、当時のチーフデザイナーを務めていたフランコ・スカリオーネでした。ちなみに、彼は1956年には先に触れたスピード記録挑戦車も手掛けていますが、その前後1952年にはアバルト1500ビポスト、1953年にはフェラーリ・アバルト166MM/53を手掛けています。そのほか、1958年にはアルファ ロメオ=アバルト1000ベルリネッタ、1960年にはポルシェ356BカレラGTLアバルト・ベルリネッタなども手掛けていて、アバルトにもっとも深い関わりを持ったデザイナーのひとりです。
ちなみに、仏伊のラテン連合ではなく、アバルトがドイツのポルシェとジョイントした1960年のポルシェ356BカレラGTLアバルト・ベルリネッタについては、また別の機会に紹介することにしましょう。Abarth 750 Bertoneは、フィアット600用のエンジンを747ccに排気量を拡大し最高出力も24.5psから41psまでパワーアップして搭載していました。
エクステリアデザインではポップアップ式(リトラクタブル)のヘッドライトと、テールに生えたフィンが大きな特徴となっていて、これらはクーペとスパイダーに共通していました。難易度は大きく跳ね上がっていて偏差値90といったところでしょうか。