海外では福祉政策自体が充実している
周知の通り、日本では乗用でのミニバンは小型から大型までさまざまなモデルがあり、また商用車ベースではハイエースとキャラバンがあるなど、ベースとなるモデルが多様だ。そのため、各メーカー関係者に話を聞くと、社会全体での高齢化率が高まっている昨今、「一般家庭でもミニバンタイプの福祉車両を個人で購入するケースが増えてきている」という。
一方で、欧米でのミニバンは商用車が主体で、乗用車ではモデル数が少ない。福祉車両は福祉関連事業者が所有するのが主流で、個人所有はけっして多くない。
福祉全般についていえば、国や地域によって差はあるものの、例えば北欧など福祉政策が充実している諸国では、移動に対する福祉の在り方についても、地域や個人の状況に沿ったフレキシブルな対応をするケースがある。
また、アメリカの場合、連邦政府や州政府などの地方自治体による公的な福祉政策よりも、個人の資産によって移動を含めた充実したライフスタイルを考えるという風潮が強い。
このように、公的福祉に関する充実度とは別に、クルマそのものとして見ると、日本は福祉車両が充実した国だといえるだろう。