使っていないタイヤを少しでも長もちさせるには
降雪地域なら今の時期、ノーマルタイヤ(夏タイヤ)は保管中という方が多いかと思う。春になればスタッドレスタイヤを保管することになる。また、複数のタイヤをお持ちの方も、装着していないタイヤは保管中だろう。タイヤに優しい、少しでも傷めない保管方法とは?
ゴムが硬化してヒビが出てきたらもう終わり
タイヤはご存じの通りゴムでできている。最近はゴムじゃないタイヤもあるが……。どちらにしても、経年劣化で徐々に硬くなり、本来の性能を発揮できなくなるのは変わらない。
「最近タイヤを新モデルにしたら、すごく乗り心地が良くなった。タイヤの進化ってすごいなぁ」という方もいるが、同じタイヤを使い古しから新品にしたことがあるだろうか。
「えっ、これってこっそりマイナーチェンジしてない?」と思うくらい、新品の乗り心地はしなやかで、ロードノイズは静かで質感が高い。これは仕様にともない溝が減ってきたこともあるが、タイヤ自体が劣化しているからこそ、新品にすると良く感じるのだ。
それだけタイヤは劣化していく。置いておくだけでも油が抜けて硬くなり、ゴムが硬化してもっと硬くなる。最終的にはヒビ割れてきてしまう。どの程度のヒビ割れはOK? と聞かれることもあるが、どの程度もなにもない。ヒビ割れたら交換だ。もしもタイヤがパンクやバーストしたら、即スピンから大事故につながり、その場から動けなくなって二次災害も起きかねない。
では、どのように保管したら少しでも劣化が防げるのか。
タイヤ保管のコツ1 冷暗所にしまう
タイヤの劣化に紫外線は大敵だ。紫外線によるダメージで劣化して、ヒビ割れたりしてしまう。できるだけ日なたには置かないように。ブルーシートや毛布などを掛けるだけでも紫外線カットの効果は期待できる。西日が当たる庭に放置などは最悪のケース。せめてカバーを掛けるようにしよう。
タイヤ保管のコツ2 ラップで空気を遮断する
空気と触れているのも劣化の原因になる。なので、ラップでグルグル巻きにして保管すると、劣化を遅らせることはできる。ホイールに組んでいるタイヤは、トレッド面にグルグルと巻き付ければいい。もし、タイヤ単体の状態だったら、トレッド面に沿わせてラップするよりも、タイヤの内側から外側にグルグルと巻き付ければ、内側からの劣化も防ぐことができる。
タイヤ保管のコツ3 空気圧は半分にして立てて保存
ミシュランではタイヤの保管時は、空気圧を使用時の約半分にすることを推奨している。ゴムや、内部のワイヤーなどの緊張を和らげるためであるという。また、横積みでの保管も片側のサイドウォールだけに負担がかかるので、立てて保管することをオススメするとのこと。
タイヤ保管のコツ4 何も塗らない
良かれと思ってツヤ出しワックスを塗っている方もいるが、それは微妙。紫外線との合せ技で急速な劣化を招く場合もある。ツヤ出しワックスは見た目の問題だけなので、保管時は不要。普段乗りのときも見た目を引き締めるには有効だが、たまに使用するくらいにしておきたい。
横積みでついたクセを取るのはプロレーサーでもひと苦労
すでに他界されてしまった名レーサーの山路慎一さんは、こう言っていた。
「海外メーカーのレーシングタイヤはさぁ、船で赤道近くとか通って何カ月もかけて持ってきてるからさぁ、その間に時間と熱でクセが付いちゃってることが多いんだよねぇ。タイヤが丸くないっての? そんな感じだから、よく走り始めはタイヤを温めるために左右にウィービングしているけど、じつは『このやろ、丸くなれ!』って感じで、タイヤに付いたクセを直すために走ってたなぁ」
それだけ、横積みでついたクセを取るのは大変だったようだ。同じように、長期間にわたる横積みでの保管は、ちょっとクセが付いてしまうかもしれない。タイヤはできるだけ冷暗所で空気を遮断し、縦に積んで保管して、次に使うまでそっと眠らせてあげてほしい。