オススメその3:三菱デリカD:5
最後の1台は、パリダカのサポートカーとしても活躍した実績ある、三菱デリカD:5だ。ひと言で表せば、3列シートミニバンの皮をかぶった本格クロスカントリーSUVということになる。
ここでは3列目席を格納した状態を基本とするが、5名乗車でも室内空間は余裕の余裕。2列目席は身長172cmのドライバー&乗員基準で頭上に210mm、膝周りに最大260mm(スライド位置による)ものスペースがあり、フロアはフラットだから、ベンチシートの3名乗車でも無理がないのである。
ラゲッジスペースは、3列目席使用時だと奥行きが160mmしかないものの、3列目席を格納すれば奥行きは一気に1200mmまで拡大し、幅は890~1250mm。ボックス型ミニバンだけに全高が高く、天井高は1135mmもあるから、アウトドア、キャンプの大荷物も余裕で積み込めるのである。具体的な容量は、3列目席格納時で2列目キャプテンシートが約828L~1003L!! 2列目ベンチシートが約805~982L(VDA測定方式)だ。
もちろん、走っても良し。2019年のビッグチェンジ以降のモデルであれば(クリーンディーゼルのみ)、ATは燃費とスムースな変速を可能にする、新開発のワイドレンジなスポーツモード付き8速ATを搭載。電動化されたパワーステアリング、走行性能と乗り心地を高めるためリヤダンパーを大径化したサスペンション、フロントウインドウの遮音ガラスやフロアカーペットを含めた入念な遮音・吸音対策まで施されているのだから、ほぼフルチェンジに近い進化ぶりを味わえる。
具体的には、ステップ式8速AT、トルクアップしたエンジンの効果もあって、加速は文句なくトルキーで力強く、スムースだ。とくに変速の速さ、スムースさは前型の6速ATとは別次元。前型とは絶対的加速性能に大きな差はないものの(それでも十二分)、感覚的に「速い」「軽い」、そして「気持ちいい」である。ステアリングは正確で応答遅れなく、思いのままに進路を変えてくれるし、コーナリング時のトレース性、安定感は、重心がずいぶん下がったかのような錯覚を覚えさせてくれるほど。
タイヤの接地感がわかりやすくなったため、運転する側も自信を持ってカーブに飛び込め、グラリとせず、リヤがねばりにねばるコーナリングを軽快に披露してくれるのだから驚きを隠せない。このあたりは新エンジンの豊かなトルク、パワーステアリングのスムースさ、新チューニングのサスペンションに加え、フロントまわりの剛性アップも貢献していると思われる。これでサマータイヤでなく、M&Sタイヤなのだから、恐れ入る。
しかも、前型ではステアリングを取られるような悪路に遭遇しても、何事もないようにサラリと走り抜けてしまうのだ。オールロード性能の高さもまた、確実に向上しているのだから申し分なしだ。つまり、荷物満載、4/5名乗車であっても(キャプテンシート/ベンチシート)、ドライバーも乗員共々、絶大なる安心感と心地よさに包まれたドライブが可能となる。とくに2列目キャプテンシートでの4名乗車であれば、後席でもビジネスクラス並みの贅沢な居住感覚を味わうことができるのだから、ロングドライブも快適そのものである。
今回はスペースの都合で、荷物満載は当たり前で、悪条件でも走りを楽しめるクルマ……を国産ステーションワゴン、SUV、ミニバンのなかから1台ずつ選んでみたが、その条件を満たすクルマはまだまだあるから、またの機会に紹介したい。