エステルやPAOがベースオイル=高性能とは限らない
PAO(ポリアルファオレフィン)やエステルがベースオイルのものもあり、これらは高性能オイルの代名詞的存在だ。高性能なオイルのベースに使われることが多いが、これらを使っているから必ずしもサーキット走行に対応するわけでもない。ベースオイルの種類からは、サーキット走行に向き不向きかは判断できないのだ。
GAZOO Racingが「GR PARTS」としてリリースしている「GR MOTOR OIL」は、ニュルブルクリンク24時間耐久レースで開発し、実際のレースでも使用。市販車でも厳しいテストを行い、エンジン保護性能と加速性能の向上を確認した上で発売されている。この一部のオイルはベースオイルに「グループ3+」を使用していると明言している。PAOやエステルがベースオイルではないが、厳しい自動車メーカーのテストをパスしたサーキット対応のオイルなのだ。
このようにスペックからでは性能が計れないからこそオイル選びは難しい。ベースオイルの種類や添加剤の配合よりも、どんなフィールドでどう使われているかを確認して選びたい。
ちなみに「R35 GT-R」の場合、日産から特別指定部品として「Mobil1 0W-40」の使用が推奨され、サーキット走行メインなら「MOTUL NISMO COMPETITION OIL type 2193E(5W40)」が推奨される。エンジン油温が110℃以下の場合は1年か1万5000kmで交換。110~130℃になった場合は5000kmで交換。130℃以上になった場合は速やかにオイルとフィルターを交換することと規定されている。
結論としては、高性能オイルを選ぶならまずは競技の場で使われている、すなわちスーパーGTのようなビッグレースで名前を聞くような有名メーカーの「サーキット対応」を謳うオイルを使うこと。そして愛車の油温に合わせて粘度を上げる。油温130℃を超えたらすぐに交換する。これがエンジンをいたわるオイル選びと使い方だ。