中古車輸出バイヤーの動向が相場を左右させている
ここまでは一般論を述べてきた。ワークスコンプリートカーに限らず、いまの中古車相場は、海外に中古車を輸出するバイヤーが握っているといっても過言ではない。つまり、海外バイヤーの“お眼鏡”にかなえば、一般的なモデルも含めその価値は高まっていく。海外の富裕層が日本でしか売っていない、もしくは日本仕様ということで、高値でも手元に置きたいとなれば、たちまち価値は上昇する。もちろん、国内だけでも局地的にあるモデルの人気が高まれば価値は上昇する。
これらを含め、ワークスコンプリートカーに将来的な価値の上昇を期待して購入するのはリスクが高いのである。新車時での販売台数が少ない、つまり中古車市場での流通台数が少ないなかで人気が出れば、価値は上昇していくことになるが、新車購入時にそこまで見越して購入することはまず難しいだろう。
またリアルタイムで見ると、世界的に新型コロナウイルス感染拡大が一喜一憂しているなかでは、海外輸出バイヤーがカギを握る中古車相場も乱高下しており“売りどき”を見極めるのは難しいのが現状。思っていたより買い取り額が低いとして売却を諦め、数カ月後にふたたび売却しようとしたら前回よりはるかに価値が上昇したという例は一般的なモデルでも多い。
趣味性や個性が強まれば、それだけ訴求対象のユーザーというものは限られてくる。しかも、新車として人気はあっても、中古車として欲しがる人が限定的となれば、その価値は伸び悩むことになるのである。