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投機目的で失敗するケースも! 高値安定ばかりじゃない今流行の「ワークスコンプリートカー」の中古車事情

ワークスコンプリートカーのロゴエンブレム

自動車メーカーが手掛けた魅力的なモデルだが

 一般的な新車と同じような感覚で購入できる手軽さが魅力といえるワークスコンプリートカー。メーカーが純正チューニングを施す背景には、系列ディーラーへの改造車の持ち込みに対する当局の目が厳しいことや、台当たり利益を上げて販売したいなど事情はさまざまとなっているようだ。「ちょっと変わったモデルに乗りたい」という、新たな顧客層の開拓もできるというメリットもあるとのこと。

投機目的での購入はリスクが高いケースもある

 ただし、「将来的に高値で売却できる」などと考えて購入しようとするのは、リスクが高いといえるだろう。ワークスコンプリートカーも含め、リセールバリューが高くなるためには、「中古車として欲しい人がどれぐらいいるか」というのがまず大切となる。

 例えばミニバンのトヨタ・アルファードや、SUV全般の中古車は不特定多数の人が「中古車でも欲しい」と考えており、一般的な中古車専業店で展示しても早めに売却できるので、リセールバリューが高まっていく。

 ワークスコンプリートカーの場合は、中古車として欲しいと考える人は限定的と言わざるを得ない。一般的なモデルのようにメーカー系正規ディーラーへ下取りに出す場合では、なかなか納得する査定額は算出されない、つまり査定額が伸び悩む傾向が強いのである。個性の強いモデルのため、ミニバンやSUV、軽自動車などを中心に扱う中古車専業店にポツンとワークスコンプリートカーの中古車を展示しても、すぐには売れないことが多い。

 希望する中古車をネット検索して購入するケースも主流になりつつあるが、そのような場合でも、「なぜその店にあるのか?」と思われるケースも多いだろう(専門店のほうが安心感はあると考える人もいる)。

 下取り車として引き取り、オークションに出品しても興味を示す業者が少なければ価値はなかなか上がらないのである。下取りに出すよりは、買い取り専門店に売却する方が売却ネットワークは広いこともあり、より高い価値を見出してくれることになるだろう。また、ワークスコンプリートカーを専門に扱う中古車店に持ち込んで買い取ってもらうのも一考。欲しい人が集う店なので、その価値を高めに判断してもらえるはずである。

中古車輸出バイヤーの動向が相場を左右させている

 ここまでは一般論を述べてきた。ワークスコンプリートカーに限らず、いまの中古車相場は、海外に中古車を輸出するバイヤーが握っているといっても過言ではない。つまり、海外バイヤーの“お眼鏡”にかなえば、一般的なモデルも含めその価値は高まっていく。海外の富裕層が日本でしか売っていない、もしくは日本仕様ということで、高値でも手元に置きたいとなれば、たちまち価値は上昇する。もちろん、国内だけでも局地的にあるモデルの人気が高まれば価値は上昇する。

 これらを含め、ワークスコンプリートカーに将来的な価値の上昇を期待して購入するのはリスクが高いのである。新車時での販売台数が少ない、つまり中古車市場での流通台数が少ないなかで人気が出れば、価値は上昇していくことになるが、新車購入時にそこまで見越して購入することはまず難しいだろう。

 またリアルタイムで見ると、世界的に新型コロナウイルス感染拡大が一喜一憂しているなかでは、海外輸出バイヤーがカギを握る中古車相場も乱高下しており“売りどき”を見極めるのは難しいのが現状。思っていたより買い取り額が低いとして売却を諦め、数カ月後にふたたび売却しようとしたら前回よりはるかに価値が上昇したという例は一般的なモデルでも多い。

 趣味性や個性が強まれば、それだけ訴求対象のユーザーというものは限られてくる。しかも、新車として人気はあっても、中古車として欲しがる人が限定的となれば、その価値は伸び悩むことになるのである。

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