安全に公道を走れるために必要なこと
極端なローダウンやリフトアップ、激しいワイドボディにエンジン換装。サーキットやイベント会場に積載車で運搬するならともかく、パッと見ると違法改造としか思えないレベルの大胆なカスタムカーが、一般道を堂々と移動している姿を目にすることが往々にしてある。
自覚があるかないかはさておき、違法なケースもあるかもしれないが、その多くは正式に『公認車検』を受けたクルマだ。クルマ好きならよく耳にするワードではあるものの、果たしてどんなカスタムを合法にできるのだろうか?
記載変更よりも大掛かりになる構造変更
最初に基礎知識として『記載変更』と『構造変更』の違いを。比較的ライトな改造に対して行われるのが記載変更で、車検を受け直す必要はなく車検証の記載事項だけを変更する。
一方構造変更は、検査を伴うため車検の残り期間があっても、それを切り捨てるカタチで新たに車検を取得することになり、従ってカスタムの内容や規模も記載変更と比較して大きい。
後席を使用しない場合は乗車定員変更を
では具体例をいくつか挙げていこう。まず乗車定員の変更。ロールケージを装着してリヤシートに人が乗れなくなる、後席の部分にスピーカーなどのオーディオを装着したときは、外した座席の分だけ乗車定員を減らさなければならない。ただしロールケージにはレイアウトを工夫し、定員を変更する必要がない製品もあるので、リヤシートを使い続けたい人はそちらを選ぼう。
クルマのサイズが大きく変わる際も要注意
次はクルマの車高を含むサイズや重さが著しく変わる場合。構造変更となるのは長さ4cm以上/幅2cm以上/高さ4cm以上で、大きめのエアロパーツやオーバーフェンダーを取り付けたり、上げるにしろ下げるにしろ車高が上の基準を超えて変化したときは、そのまま公道を走っていると違法改造で摘発されかねないので要注意だ。なお重量にも規定があり増減が軽自動車で50kg、普通車は100kg以上で構造変更の対象になる。
エンジンを変更すると構造変更が必要になることも
続いてはエンジン系。元の型式と異なるエンジンに載せ替えたとき、内部の改造で排気量が上がったときなどは、構造変更を受けなければ当然ながらアウトだ。ただし、例外として日産のSR20DEとSR20DETのように、同型式のエンジンでNAとターボという違いがあっても、車検証には『SR20』としか記載されていなければ、構造変更も記載変更も不要な事例があるので覚えておこう。
ほとんどの人には縁がないケースかもしれないが、箱型のクルマから屋根を切って『幌型』にするような、車検証の『形状』が変わる改造も構造変更の対象となる。ただし「構造変更すればどんなカスタムも認められる」というワケではない。ちなみに改造できる部品は細かく指定(車体:エアロパーツ/ルーフラック/フォグランプ/キャンピングシェルなど、車内:オーディオ/カーナビゲーション/無線機など、走行および操作装置:サスペンション/タイヤ/ホイールなど)されており、それ以外は違法となるのでくれぐれも注意しよう。