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伝説のマシンがまた1台蘇る! 高橋 徹と中嶋悟がドライブしたマーチ832が発掘された

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

風の流れがわかる男がデザインしたGCスペシャルのMCS5

 1980年からF2ではグランドエフェクトカー(あるいはベンチュリーカー)に対して規制が強化されましたが、GCでも1984年からはグランドエフェクトカーが禁止されています

 グランドエフェクトカーというのはボディの下を流れる空気を利用して、マシンにダウンフォースを発生させようというものでしたが、大きな事故につながる危険性も指摘され、一度は禁止されることになったのです。F2の832では全面禁止とはなっていなかったため、サイドポンツーンの内部は部分的には翼断面に成形されていましたマーチ832/MCS5・BMW

 しかし先述した高橋選手の死亡事故などもあり、GCでは1984年からグランドエフェクトカーが禁止され、サイドポンツーンはモノコック本体とは離してマウント。それぞれの底面はフラットとなり、モノコックとサイドポンツーンの間は空洞となりました。このカウルを製作したのはムーンクラフトです。モノコックから離されたサイドポンツーン

 コーヒーのCMで「違いが分かる男」として、一般にも広く知られるようになった「風の流れが分かる」由良卓也代表が主宰するコンストラクター、ムーンクラフトは、それまでにも数多くのレーシングカーにスペシャルカウルを提供してきました。そのなかでも代表作となったのが、GC用カウルのMCS(ムーン・クラフト・スペシャル)で、MCS5は1984年シーズンに向けて開発されたその第5世代の作品です。

 今回発掘されたのは1984年シーズンの富士GCに参戦した中嶋車です。永年のホコリに塗れていましたが、屋内に保管されていたとのことで心配されたほどには経年劣化はなく、赤いゼッケンシートの“色落ち”も意外なほど酷くはありませんでした。マーチ832/MCS5・BMW

 このままホコリを掃って各パーツにカラーリングを施せば、展示にも耐えるコンディションになると思われるほどです。じつは夏に予定されているイベントに向けて、このEPSONカラーのGCマシンではなく、本来のF2仕様に復帰させるレストア作業が予定されています。そのため急遽、イギリス本国にオーダをしてマーチ832のF2仕様の新品カウル(!)を入手し、すでに手許に用意しているとのこと。

 今後も作業の進捗具合に応じて続報する予定ですが、モータースポーツファン、そして高橋徹ファンには夏のイベントが待ち望まれることになりそうです。

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  • モノコックから離されたサイドポンツーン
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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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