市販車だけでなく長きにわたってモータースポーツでも活躍!
1989~2000年代前半まで、日産の主力エンジンであった直列4気筒のSR20。2000年代に入ってからは後継機であるQRエンジンが実用一辺倒であったため、ミドルクラスのパフォーマンスユニットとして2007年まで延命され、最終的には自主規制値いっぱいの280㎰まで到達するなど潜在能力の高さを見せつけた。
さらに、モータースポーツの世界では1990年代のGT選手権やJTCCのトップレースで活躍し、フォーミュラ3(F3)用エンジンとして最近まで使われるなど、RBエンジン以上に長きに渡って一線で活躍したパワーユニットだ。
デビュー当初は量産エンジンゆえにチューニングに不安要素があった
セダンからミニバンまで幅広い車種に搭載され、FF車が中心となるミドルクラスの基幹エンジンであったSR20。だが、同カテゴリーにFR車のレプシロエンジン搭載車が不在であったこともあり、S13シルビア&180SXの販売台数の躍進とともに、スポーツユニットとしてターボエンジンを軸にアフターマーケットでの開発が進んでいくこととなる。
ただ、レースでの使用を念頭に置かれて開発されたRB26DETTエンジンとは異なり、SR20DETは量産エンジン。純正パーツは高出力化に耐えられるキャパシティは持ち合わせておらず、ブーストアップですら純正インジェクター/燃料ポンプ/エアフロは完全に容量不足。パワーアップを図るにはパーツの交換が前提となっていた。
また、軽量化のために採用されたアルミブロックは高出力化におけるノッキングに弱く、コスト重視のために採用された純正Y字型ロッカーアーム(インテーク、エキゾーストともにひとつのカム山で2個のバルブを同時に動かす)の脱落が発生。エンジン破損の恐れがあるなどネガティブな要素が露呈し、デビュー当初はチューニングベースとしてはリスクがあると評価されていた。
ドラッグレ―スやドリフト競技で磨き上げられてトラブル解消へ
しかし、モアパワーを必要としたドラッグレースやドリフト競技のベース車両として人気を得たこともあり、エンジンを含む車両の開発は飛躍的にスピードアップ。長期間にわたる参戦からエンジントラブルの原因は究明され、各メーカーやショップも対策やノウハウを蓄積していく。その結果、対策品を含めてアフターマーケットに豊富なパーツが出揃い、さまざまな仕様に仕立てることが可能となり、チューニングに適したイジりがいのあるエンジンとして高く評価されることとなった。
さらに、シルビア&180SXだけでなく、同年代のスカイラインやローレル、セフィーロのRBエンジンからSR20DETに積み替えるスワップもチューンも一定数存在。これはR32ならS13、R33、R34ならS14、S15用がメンバーごと無加工で移植できる手軽さと、オーバーハング分で2気筒分の軽量化ができ、軽量なSRのメリットを生かしつつ飛躍的に運動性を高めるためにコンバート(ミッションもアダプター装着でRB用がそのまま使える)。そのほかにも旧車のスワップ用エンジンとしても使われるなど、幅広く活用されているのも魅力のひとつといえよう。