いまでは日本ですら絶滅危惧種な「フェンダーミラー」
昭和世代なら当たり前の装備だった「フェンダーミラー」が、今や絶滅の危機に瀕しているのをご存知だろうか? かつては当たり前だったフェンダーミラーが急速にドアミラーに置き換わっていった背景には、外圧と法改正という複雑な事情があったのだ。海外からは日本車の象徴のように考えられていたフェンダーミラーの、数奇な運命の歴史を紐解いてみよう。
フェンダーミラーとドアミラーの違いは?
自動車には前を向いて運転している際にも後方を確認するため、「後写鏡」と呼ばれるミラーが備わっている。そのなかでもボディ両脇に装着されているのが通称「サイドミラー」と呼ばれるミラーだ。若い世代の場合、サイドミラーが付いている場所を聞くと、おそらくドア前方と答えるだろう。これが現在主流となっているドアミラーだ。
ところが、現在街なかでたくさん見かけるトヨタの「ジャパンタクシー」は、もっと前、ボンネットの両端にミラーがついている。これがフェンダーミラー。現在販売されている車両では唯一ジャパンタクシーだけがフェンダーミラーを採用しているが、かつてはフェンダーミラーが主流だったのをご存知だろうか?
かつて日本のクルマはすべてフェンダーミラーだった
昭和世代なら、昔はもっとフェンダーミラーのクルマが多かったことを覚えているだろう。じつは日本ではある時期まで、キャブオーバータイプの車両以外は、基本的にフェンダーミラーを装着しなくてはならかった。旧車のイベントに行くと、フェンダーミラーの車両をたくさん見ることができるのはそのため。すでに海外では主流となっていたドアミラーに比べてフェンダーミラーは視線移動が少ないため、ベテランドライバーはフェンダーミラーを懐かしむ人も多いが。
それではいつフェンダーミラーはドアミラーに変わったのだろうか?