ポルシェ・クラシックが50年前の911タルガを本気レストア
クルマも時計もオールニューが揃う以上、50周年記念の画竜点睛はやはりヒストリック・ピース。ポルシェ・クラシックからも同時に、F.A.ポルシェ博士へのオマージュとして1972年式911S 2.4タルガのレストアが実行された。
ポルシェデザインとポルシェ・クラシックのスタッフが綿密に打ち合わせた方向性は、2022年式「991」の50周年アニバーサリー・モデルと限りなく揃えるというものだ。外装色はソリッドカラーのブラックに、内装はブラックレザー&チェッカー柄スポーツテックス・ファブリックのコンビシートという、モノトーンのコーディネイト。タルガの特徴であるステンレスのBピラーはブラシ加工で光沢を抑えた仕上げで、マットブラックのTARGAロゴを引き立てつつ、またドアサイド下端のPORSCHE DESIGNレタリングも、同じプラチナのサテン仕上げとなる。
アノダイズドでリム奧をブラックとしたフックスのホイールに至るまで、全体的に抑えに抑えたミニマルなモノトーンとなっており、ホイールセンターのロゴに含まれる赤が、結果として逆に効いてくる、そんな外観だ。実際、内装の伝統の5連メーターの針も、どことなく赤味が強めに見えないだろうか。
当時のディテールを忠実に再現しながらもモダンな佇まい
新車のディテールをクラシックに再現しているとはいえ、いわゆるレスト・モッドというより、過去に忠実なクラシックであるにも関わらず、時間が止まったようなモダン効果、それこそがポルシェデザイン的といえる。直近のオークションでは16万ユーロ(約2100万円)前後と、ナローのタルガの相場も多少は落ち着いてきたようだが、フルレストアとなれば、もう一台分の予算を見ておいた方が賢明だろう。それでも真似したくなるような、まさしくデザイン・コンシャスな新旧ポルシェ×3ピースの競演だった。