教習所では教えてくれない、少し昔の定番テクニック
ATが主流の現在では絶滅的な行為なのが「押しがけ」。やったことも聞いたこともない人も多いかもしれないが、押しがけとは読んで字のごとく、キーでスターターを回してエンジンをかけるのではなく、クルマを押してかけること。バッテリーが上がってしまって、スターターを回すことができないときに、その昔よく行われていた。
押しがけのやり方は至って簡単
方法としては簡単で、運転席に乗って、2速に入れたらクラッチを切ってクルマを押してもらう。しばらくして勢いがついたら、クラッチをつなげてやるだけ。エンジンブレーキと同じようなもので、エンジンは回るのでうまくいけばかかる。問題は押してくれる人がいること。さらに一発でかからないことがあることだろう。古いクルマの場合、キーをひねったところですぐにかかるとは限らないのでなおさらだ。
ひとりでの押しがけも不可能ではない
ひとりしかいないときでも、なんとかすることはできて、まずは下り坂を利用するということ。坂がない場合は、ニュートラルに入れて、ドアを開けて押しつつ、勢いがついたら乗り込み、最初に紹介した方法でクラッチ操作などをするというのもある。坂道はかからなかったときに再トライが難しいし、ひとりの場合も大変だし、なにより場所を選ばないと危険でもある。
なぜ1速ではなく2速に入れるのか
なぜ1速ではなく2速かというと、ギヤ比の問題で1速だとクラッチをつないだ瞬間に止まってしまうから。エンジンを回しつつ、ある程度走るという点では2速がちょうどいい。もちろんクルマによっては3速でもいいだろう。
ちなみにオートバイのレースでは、スタートは押しがけというのは昔はポピュラー。そのときは2速でかけることが多く、そのまま飛び乗ってシフト操作をすることなく加速ができるというのがメリットだった。
現代のクルマでもMT車なら押しがけは一応できる
押しがけは過去のもので、キャブレターだからできるように思えるが、電子制御のインジェクターを備えた現代のクルマでも押しがけは可能だ。もちろんマニュアル車でないとダメなのだが、普通にかけることができる。
ただ、最近のクルマはバッテリーが上がってしまうと、セキュリティのため(外したと認識される)ウインドウが下がらなくなったり、純正ナビがエラーになるなど不具合が出ることが多い。押しがけにトライするのではなく、レスキューを呼ぶようにしたい。