ライトウエイトスポーツの代表格「EG6」
日本のスポーツカーがいわゆる『280psウォーズ』を繰り広げていた昭和の末期から平成の初期、排気量が1600cc前後のライトウエイトと呼ばれるカテゴリーも数多くの名車で彩られていた。
1995年にDC2インテグラ・タイプRが登場し終止符が打たれた感はあるが、それまでの主役として多くの人が名を挙げるであろう車種は、1991~1995年に生産されたEG6シビックのSiRだ。かくいう自分も草レースに出場するためAE86から乗り換え、VTECエンジンをはじめとする圧倒的なパフォーマンスの虜になった。
数年後に乗り換えたときも迷わずEG6をベース車に選び、ボディにはレーシングカーのようなスポット増しを施し、毎週のようにサーキットを走っていたことを思い出す。愛車を手放して15年が過ぎてしまった現在も、チャンスがあればふたたび乗りたいと感じるほど。そんな元オーナーの目線で、EG6の魅力をあらためて考えてみたい。
B16型エンジンの圧倒的高性能に湧いた
まずは高性能エンジンの基準というべき1Lあたり100psを超え、170psをマークしたVTEC機構を持つ名機B16Aエンジンだろう。基本設計こそ先代モデルのEF9と変わらないものの、出力は160ps/15.5kg-mから170ps/16kg-mに向上。それが1t程度のボディに載るんだから、ハッキリいって速くないワケがない。
しかもEF9や後継のEK4にも当てはまることだが、『最終奥義』ともいえるDC2インテグラ・タイプRのB18Cに載せ替えるのも比較的カンタン。レースカー並みに軽量化したボディと200psの組み合わせは、ライトウエイトどころか2000ccクラスのターボ車(純正タービン)とも戦えるほど。
もっともパワーだけで速く走れるとは限らない。EG6の魅力はハイパワーを効率よく路面へと伝達し、限界が高くコントロールもしやすい足まわりにもある。前後ダブルウィッシュボーンのサスペンションはEF9から引き継がれているが、EG6になってからリヤの仕事量が増え4輪を積極的に使っているように感じた。自分はEF9も所有しサーキットを何度も走らせたが、EG6に比べリヤがインリフトしやすい傾向だと感じた。
またブレーキもEG6が4輪を沈み込ませる姿勢なのに対し、EF9はフロントの利きに依存する割合が強かったように思う。とはいえ積極的にリヤを動かして走る人はEF9が向いているだろうし、足まわりのセッティングやタイヤの性能が劇的に進化した今となっては、ドライバーが好きな方向に味付けすることができるのかもしれない。