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プロレーシングドライバーの意見も真っ二つ! 「押す」もアリ「引く」もアリのハンドル回しとは

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

ハンドルさばきは「送りハンドル」が基本

 ハンドル操作はクルマの運転の基本中の基本。しかし驚くほど我流の人が多い。パワーステアリングが当たり前になり、片手でも難なくハンドルが回せるようになってからはとくにいい加減な操作をしている人が多い気がする。

 一方で、教習所では相変わらずクロスハンドルを奨励。ハンドル操作中に腕がクロスすると、肩が背もたれから離れやすくなるし、力も入りづらくなる。結果として操作の正確性が落ちるので、デメリットしかないのだが……。ハンドルの回し方

 四足歩行動物から進化した人類としては、腕を振るのは骨格構造的に得意であっても、本来、回すというのはあまり得意な操作ではないはず。それだけにより理にかなったハンドルさばきを身につけるのが、スキルアップの要諦となる。

ハンドルを握る位置は9時15分が基本

 直進時、ハンドルを握る位置は9時15分が基本だ。丸いものを回すなら、円の最大径を持つのがベスト。力点が視点から離れれば離れるほど梃子の理が利くし、ウインカーやワイパー、ライトのスイッチなども、この9時15分の位置でハンドルを握ったときに操作しやすいよう設計されているからだ。ハンドルの回し方

  そしてハンドルを回す角度がおよそ90度以内であれば、手を持ち替える必要がないのでそのまま回せばいい。問題はもっと大きな舵角が必要になったとき。

 そうしたときに多くのプロドライバーが実践しているのが、いわゆる「送りハンドル」。この「送りハンドル」にも、「押す」「引く」二通りのパターンがあるので、それを解説していこう。

ハンドルを「引く」方式とは

 まず「引く」やり方。右コーナーを想定すると、右手をステアリングのトップ=12時の位置に迎えに行き、そこから3~4時の位置まで引き回すのが、ハンドルを「引く」方法。このとき、左手は滑らせて9時の位置をキープし続け、右手を4時付近まで動かしても、まだ舵角が足りない場合は、左手を押し上げて切り足していく。ハンドルの回し方

 そして、右コーナーなら最大舵角のときに、左手が11時付近のところにあると、押し上げた左手でちょうど肩と身体を支えるカタチになる。そのためホールド性が高まり、力みが抜けて疲れにくくなるのでおすすめだ。ハンドルの回し方

ハンドルを「押す」とは

「押す」パターンは「引く」やり方の正反対になる。右コーナーなら、ハンドルを右に切る前に、左手を7~8時の位置に下げておいて、そこから12時ぐらいの位置まで押し上げ、足りなければ15分の位置に残しておいた右手を引き下ろして舵角を切り足す。ハンドルの回し方

 以前、スーパーGTに出場しているトップドライバー30名にアンケートを採ったことがあるが、その結果は引く派が1/3、押す派が1/3、どちらでもない、両方併用、無意識にやっているというドライバーが、1/3ときれいに分かれていた……。

 というわけで「押す」「引く」どちらがベターかとはなかなか言い難いが、いずれにせよ「ハンドルさばき」=「送りハンドル」というのは間違いない。パワステ時代に「内掛けハンドル」なんて百害あって一利なしだし、クロスハンドルもいただけない。ハンドルの回し方

 またとりあえず大雑把に切って、あとから何度も切り足したり戻したり補正するのも未熟な証拠。ハンドルさばきの要諦は、第一に必要な舵角を正確に予想し、必要なときに必要な量だけ回すのが極意。そのためには漫然とハンドルを切らずに、計画性のあるハンドルさばきを意識するのが第一歩だ。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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