中走行車を購入して定期的にメンテするのが正解か!?
ということは本当の狙い目になるのが7万km前後の「中走行車」となる。大きな出費を迎えるまでに「3年=3万km」の猶予があり、その間に少しずつ整備していくことでトラブルを分散することもできるはずだ。価格的にも手ごろな中走行車だが、中古車は個体差が大きく「アタリ/ハズレ」があるのも否めない事実。もちろん中走行車でもハズレの個体を手に入れてしまったら、購入後に大きな出費になることは間違いなく、誰もが「アタリ」を引き当てたいと思うはずだ。
このアタリを引き当てるのは運だけでなく、しっかりとした「確率論」が存在する。アタリに巡り合うためにもっとも必要なことは「点検整備記録簿」を確認することであり、整備記録簿とは人間で言う「診療カルテ」に相当する重要な書類なのだ。
点検整備記録簿のない個体は後々のリスクを考えると選択肢から外したい
中古車のなかには整備記録簿が紛失している車両が存在するが、自分の目で車両のコンディションを把握できる自信がないのなら、この整備記録簿のない車両は選択肢から排除するのが賢明だ。通常、整備記録簿はダッシュボードやドアのサイドポケットに保管されている車検証入れに、操作マニュアルとともに保管されているはず。つまり操作マニュアルがあるにも関わらず、整備記録簿だけが紛失しているのは不自然である。
普通ならクルマを手放すときに前オーナーが整備記録簿だけを抜き取ることは考えにくい。整備記録簿は継続車検や12カ月、24カ月の定期点検のチェック、修理やメンテナンスを行った日時、修理履歴、交換パーツなどを記載するもので、そのときには走行距離も同時に記載される。そのため、メーターを巻き戻した車両や不正な整備が施されている車両から、整備記録簿が抜き去られているという可能性も考えられるので注意してほしい。
過走行車でもしっかり整備されている中古車は信頼性が高いと言える
もちろん整備記録簿があっても、継続車検や定期点検の履歴が明記されていない車両も危険度が高い。これまでにどこで車検を継続したのか、点検・整備を行っていたのかが不明であり、点検・整備を行っていたとしても整備記録簿を書かない修理工場は信頼性が高いと思えない。
逆に走行距離が多くとも定期的に点検を受け、交換部品が交換された履歴がある車両は信頼性が高く、オルタネータやラジエター、ショックアブソーバーなどが交換されているのなら、将来的に大きな出費が予想される部分がクリアされているということにもなる。整備記録簿に記載される整備・修理履歴がディーラーや信用できる修理工場であれば、車両の信頼性はより高くなるといえるだろう。
中古車は一期一会。同じ条件のクルマは決して存在しないのが中古車であり、より良い車両と出逢うには価格や走行距離だけでなく、車両がどんな人生を歩んで来たのか、どんな整備や点検、修理を行っているかを把握するためにも整備記録簿の存在を忘れてはならない。日ごろから健康に気を配り、定期的に健康診断を受け、病気を早期発見して治療を行った人が年齢を経ても元気でいられるように、クルマも定期的に点検・整備を受け、悪い部分を早期発見して完治させているクルマは年式を経ても良いコンディションを保っている可能性が高い。価格が手ごろな中走行車両だが「アタリ」を引くにためには整備記録簿の確認が大きな鍵になるということを覚えておこう。