ダイハツカスタムの仕掛け人「米山知良さん」とは?
今年の「アトレー キャンパーVer.」や、昨年のハイゼットのルーフをカットオフした「ラグナ青果」など、遊び心溢れるカスタマイズコンセプトモデルを展示しているダイハツ。これらの個性的なモデルをプロデュースしているのが、ダイハツ デザイン部 第一デザイン室 先行開発スタジオ主任の米山知良さんだ。YouTubeの動画などにも精力的に出演しているため、ご存知の人も多いのではないだろうか。
ダイハツのショーカーに3つの柱を導入
2017年からショーの車両を担当するようになった米山さん。それまでは純正の用品を装着した程度の車両展示だったのだが、「せっかくのショーなのだから、ダイハツが持つ歴史や強みを多くのユーザーに知ってもらいたい」と3つの世界観を柱としたショーカーの作成をスタートしたのが始まりだった。
それが往年の「デ・トマソ」を思わせる「SPORZA」シリーズのスポーツと、初代「ムーヴカスタム」で軽自動車のカスタム版の元祖となったことをアピールする「Grand Custom」シリーズ、そして軽やコンパクトカーが持つカジュアルさを前面に押し出した「Beach Cruisin’」と「CROSS FIELD」シリーズだったのだ。
これらのスポーツ、カスタム、カジュアルの3つの柱は、ダイハツが昔から小型車や軽自動車を手掛けていたからこそのヘリテージであり、そこを多くの人に楽しんで理解してもらいたいという想いからスタートしている。
生活に寄り添いつつマニアも唸らせるコンセプトモデルを
その後も3つの世界観を残しながら、「ダイハツビレッジ」に代表される「集い」や「地方創生」といった、生活に寄り添ったクルマを多く手掛けるダイハツならではのテーマを一貫して掲げながらも、さまざまなジャンルのテイストを取り入れたカスタマイズコンセプトモデルをリリースしているというワケなのだ。
また、ただのカスタマイズコンセプトモデルではなく、マニアが見て「おっ!」と思えるポイントや、サプライズポイントを必ず入れることを心掛けているそう。今年で言えば「アトレー キャンパーVer.」のリヤの浴槽などがそれ。
ルーフテントやドアに埋め込まれたツールボックスだけでも十分なインパクトがあるが、リヤに回り込むと浴槽があるという、さらなるサプライズをプラスしているのである。
ひとりの熱いクルマ好きが送り出すショーカーに今後も期待
ではなぜここまで幅広いテイストのカスタマイズカーを米山さんひとりで手掛けることができるのか? というと、それは米山さんが自動車メーカーのデザイナーである以前にゴリゴリのクルマ好きだから。
「インプットがないとアウトプットできない」と話す米山さんは、由緒正しいクラシックカーイベントからド派手な改造車イベント、ミニトラック系に痛車系からフェラーリなどのイタ車系、アメ車系など、とにかくイベントに足しげく通っている。プライベートの愛車も軽自動車から商用車、ミニバン、セダン、輸入車とジャンル関係なく70台以上乗り継ぎ、ほとんどの車両で何らかのカスタマイズを実施しているほどの雑食系クルマ好きなのである。
このようにわれわれと同じようなユーザー目線を持っているからこそ、魅力的なカスタマイズモデルを多くリリースすることができる米山さん。毎年ショーが終わるころには来年のショーモデルの構想が浮かんでいるそうで、今から来年のショーモデルのお披露目が楽しみである。