高い買い物だけに失敗はしたくないもの
新車では手が届かないような価格のクルマや、生産が終了したクルマを中古で手に入れる。仮に年式や走行距離が近くてもコンディションはさまざまで、買ってから「失敗だ!」と後悔した人も多いだろう。
中古車には多少なりともギャンブル的な要素があるが、その当たり外れを単なる『運』だけで片付けるのは早計だ。それほどクルマに詳しくない人でも判別できる、選んではダメな中古車の見極め方を紹介したい。
走行距離や修復歴を気にしなくなっている人も増えた
話を聞いたのは通勤や通学といった街乗りメインだけじゃなく、サーキットを走るユーザーも多く集まる中古車の販売店。自社で仕入れたベース車両をサーキット仕様にカスタムし全国へ納車しており、目利きの能力も情報量も相当なレベルだ。
昔から中古車を選ぶ際のポイントとして、走行距離と修復歴は決まり文句のように聞く。やはり最大の注意点はそこなのだろうか。すると「距離が少なかったり修復したことがないのはプラスですが、最近のクルマに関していえば決してマストじゃありません。エンジンを構成するパーツや組み付けの精度、油脂類の性能は驚くほど進化しているんです。かつては10年&10万kmが区切りなんて時代もありましたが、当社は走行距離が15万kmくらいでも基本的に問題ないと考えます」
「修復歴も見た目だけを適当に取り繕ったようなクルマや、よほど大きな事故じゃない限り気にしないとは言わずとも、昔ほどシビアに考えることはなくなりました。各パーツや油脂類と同じで修理の技術が格段に上がっているせいか、購入する側もあまり修復歴を気にしなくなったように感じます」とのこと。
この傾向はインターネットを介した個人売買が盛んになったころに端を発し、今では「安く買って修理したほうが信用できる」との考えを持つ人も多いようだ。確かにそれもひとつの正解ではあると思うが、自分じゃ見極めできない人がほとんどだろうし、修理に想像を大きく超えるコストが必要になったり、直しようがない致命傷だったなんて可能性もある。そこでクルマの知識がない人でも判断しやすい、絶対にチェックすべき箇所を教えてもらった。
エンジンルームがきれいすぎるのも要注意
まずエンジンはオイルのフィラーキャップを開けて、見える部分の汚れがあまりに酷いときは要注意。基本中の基本であるエンジンオイルの交換さえ疎かだったと判断できるし、そんなオーナーがほかの部分をメンテナンスしていたとなんて考えにくい。必ずしも悪意があってのこととはいえないが、エンジンルームがあまりにキレイすぎる中古車も要注意な場合がある。展示を急ぐあまりオイル漏れに気付かないまま洗浄し、納車してからトラブルに発展するケースがあるそうだ。
やはり錆が気になるレベルの個体は避けるべき
ボディでは修復歴よりも何よりも避けるべきは錆。年式の古いクルマなら多少は止むを得ないが、そこそこ新しくても使われていた地域や環境、修復のレベルによっては錆びが発生してしまう。下まわりなら目で見て判別できるから覗き込んで確認し、修復歴があればその部分をできる限りも見せてもらおう。逆にいえばそれらを見せたがらない中古車は、好みであっても敬遠したほうが無難だと思われる。
カスタム済みは各パーツの状態をきちんと把握すべし
もうひとつはカスタム済みの中古車を買うときの注意点を。たくさんの部品が装着されてお買い得感はあるものの、パーツのメーカーや状態をキチンと見極めるべし。前述の販売店によると「安いけど出どころの不明な粗悪なパーツも多く出まわっており、結局すぐに買い替えるハメになって費用も手間も二重になってしまいます」とのことだ。
中古車を選択肢に入れれば出費は抑えられるし、購入してからのクルマ遊びも幅がグッと広がる。ただし安さやセールストークばかりに釣られると、痛い目に遭う危険性もあると覚えておきたい。大切なのはある程度のコンディションを自分で判断する目を養うこと。その自信がなければリスクを承知したうえで個人売買に手を出すか、信頼できる販売店でプロの力を借りつつ相棒を見つけよう。