国内でも復活を遂げたラリーアート
パリ・ダカールラリーやWRCなどで、三菱車のワークスチームとして活動していたラリーアート。2010年を境に活動停止が続いていたが、昨年からブランドが復活。東京オートサロン2022には、コンセプトカー『ヴィジョン ラリーアート コンセプト』を出展し、新生ラリーアートを印象づけた。
マツダスピードは競技用部品を手掛ける
こうした流れで気になるのは、ラリーアート以外のかつてのワークスチーム。とくに復活が望まれるのはマツダスピードだ。1991年、マツダ787Bでル・マン24時間レースを制したマツダスピードは、1999年7月にマツダ本社に吸収され、事実上消滅……。
しかし、ブランド名はまだ生きていて、ロードスターパーティーレースの公認ロールバーはマツダスピードのもの。バケットシートやエアロパーツなどのパーツやアクセサリーにもマツダスピードの名前が使われている。
マツダファンとしては、パーツ類のブランドだけでもマツダスピードの名前が残るのはうれしいことだが、できればモータースポーツにもチームとして、組織としてカムバックしてほしい!
スズキスポーツのDNAを継承したモンスタースポーツ
もうひとつはスズキスポーツ。スズキスポーツは厳密にいうとスズキのワークスチームではなく、ダートラ界のレジェンド、モンスター田嶋こと田嶋伸博氏が1986年に設立した会社だ。2002年から『スズキ イグニス Super1600』でJWRC(ジュニア世界ラリー選手権)に参戦し、スズキのセミワークスのような立場でモータースポーツ活動を行っていた。
2007年からはスズキ本社の資本も入り、WRCでも戦っていたが世界的な景気低迷の影響もあり2009年でWRCでの活動を休止。2011年に株式会社アイアールディー(IRD)に社名変更となり、そのIRDも2015年に田嶋伸博氏が代表取締役会長兼社長を務める株式会社タジマモーターコーポレーションに吸収合併された。
以後、「SUZUKI SPORT Racing」は「MONSTER SPORT」にブランド変更している。
MONSTER SPORTでは、スズキ車オンリーではなく三菱、マツダ、トヨタ、日産、ホンダ、スバル、輸入車などのパーツも開発、販売しているが、メインはやはりスズキ車。エアロやマフラーなどの機能パーツだけでなく、スイフトやジムニーのコンプリートカーも作っている。しかし、「スズキスポーツ」というブランド名は、過去のものになってしまった……。
ダイハツワークスと言ってもいい認知度のD-SPORT
ほかにもダイハツ系のブランドとして「D-SPORT」も気になるところ。D-SPORTは2002年に立ち上がったダイハツ車専用カスタマイズパーツブランドだが、ダイハツ本社直系のブランドではなく、レーシングギアのアルパインスターズをはじめ自動車部品・用品を幅広く扱う専門商社SPK株式会社の一部門である。
とはいえ、「K4GP富士1000km耐久エコラン」「十勝GPコース軽自動車5時間+α耐久レース」「K-Car筑波2時間耐久レース」「K4-GPセパン24時間耐久レース」など、軽自動車の耐久レースにも積極的に参戦。「ダイハツ・チャレンジカップ」(ジムカーナ)にもエントリーしていて、ワークス的存在として認知されている。
また、全国のダイハツディーラーでD-SPORT製のパーツを購入、取り付けできるという意味でも、ワークス色の濃いブランドだ。
ワークスブランドも時代に合わせて進化している
ワークス系のニュースとしては昨年12月、ニスモ(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)とオーテックジャパンとを統合した新会社「日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社」が、2022年4月1日付けで設立されると発表があった。ニスモはまさに日産直系のワークスチーム。今回の統合でさらに規模が大きくなり、体制強化が図られるはず。
ホンダもF1をはじめとする四輪レース活動が、HRCに統合され新しいスタートを切るところ。そういう意味で、ワークス系も時代に合わせて進化・変化していく時代を迎えているといえるだろう。