スズキRE-5
マツダ車以外では、スズキが世界初の量産ロータリーバイクを登場させている。それが1974年に登場したRE-5。RE-5のエンジンは、497ccの1ローターで、62psという当時の750ccクラス並のパワーを誇った。デザインはイタルデザインのジウジアーロが担当。デザインした先進的なスタイルも、大きな話題となった。RE-5は輸出専用モデルでアメリカから2万台のオーダーがあったが、第一次オイルショックの影響などにより約6000台で生産終了。
同じころ、カワサキも900cc 2ローターのX99を試作し実走テストを行ったが、量産化には至っていない。ロータリーに否定的だったと言われるホンダでも、CB125のフレームにホンダ独自で開発した空冷1ローターエンジン搭載した「A16/24」を試作(1975年)。ヤマハはヤンマーディーゼルと共同開発した330cc×2ローターエンジンを搭載したRZ-201を1972年の第19回東京モーターショーに出展。いずれも試作だけで終わっている。
NSU
外車では、ロータリーエンジンの本家、NSUヴァンケルが1964年に発売したヴァンケルスパイダーが、世界初のロータリーエンジン搭載市販車だった。シングルローターをリヤに積んだ後輪駆動車(RR)で、総生産台数は2375台。日本国内にも2台現存していると言われている。
NSUは1967年にセダン初のロータリー車「Ro80」(こちらは2ローター)も発売。しかし、2年後の1969年、NSUはフォルクスワーゲン傘下となり、同じくフォルクスワーゲン系列になったアウトウニオンに吸収され、Ro80も1977年に生産終了した。
シトロエンM35
またシトロエンも1967年にはNSUと業務提携し、497.5ccの水冷1ローターを積んだクーペ、「M35」を1969年に発表している。267台が生産されたが試作的な存在だった。その後、1973年に1000㏄/107psの2ローターを搭載(シトロエン初の横置きエンジン)したのがGSビロトールを発売。
実質的にはこれがシトロエン初のロータリーエンジンの量産市販車。車名の“ビロトール”とは、フランス語で「ふたつのローター」を意味する。847台が生産された。