制御の最適化だけでなくセーフ機能解除でパワーを引き出す
では、スポーツマフラーを使ってパフォーマンスアップを図るためには何をすべきか? まずは、エンジンのマネージメントを請け負っているECUを書き換える必要がある。従来のECUチューンと同じように点火時期や空燃比などの制御をメーカーが考える安全マージン領域を削って、より出力を向上させる方向で最適化するのが狙い。だが現在のクルマの場合は、そのために先ほど記述したとおり、自動車メーカーが総合的に監視している各部のセーフ機能が働かないようにしなくてはならない。
セーフ機能の一例を挙げると現行ホンダN-ONE RS(2021年発売開始)は、マフラーの変更やブーストアップを施し、パワーやトルクがメーカー基準値を上まわろうとするとECUがタービンの回転を抑えるように介入する。つまり、このECUの制御を抑制しない限り、何をやっても大幅なパワーアップは望めないというわけだ。
最近はECUによるマネージメントは多岐におよび、新しいクルマほど複雑化。解析は容易ではない。そのため、純正ECUの解析と並行しながら、純正ECUのセーフ機能の影響を受けない社外のフルコンと置き換え、出力向上を目指す手法もある。
ECUチューンは経験とノウハウが求められ同じ商材&機材を使っても性能に差が出る
純正ECUの解析が終了していれば、スポーツマフラー交換の効果も生きてくるが、ECUデータの解析はどのメーカー、ショップも同じではなく、ノウハウがものを言う。その手法も純正ECUを直接書き換える場合や外部ツールを使ってECUデータを書き換える方法、サブコンのみで対応など色々あり、さらに同じ商材&機材を使っていてもショップで性能に差が出る。そのため、ECUチューンを依頼するお店選びはひと筋縄ではいかないのだが、専門店と呼ばれ、そのクルマに特化しているほうが解析は進み、車両により精通している可能性は高い。
また、チューニングショップに足を運ぶのは勇気がいるし、最後は人間同士の付き合いなので相性も正直ある。まずはショップのホームページを確認すること。気になったお店をピックアップした上で電話し、自分の希望を伝えてみよう。その上で自分がこのお店なら行ってみたい、と感じた店舗なら失敗も少ないはずだ。健闘を祈る。