最初にターボを搭載したモデルはセドグロだった
市販車初のターボ車というとBMW 2002ターボ(1973年)が有名だ。ところがオイルショックで世界中が大変なことになっていた時期と見事に重なり、2年に満たない短命に終わった。
一方で日本で最初にターボ車を市販したのは日産だった。1979年10月に登場したセドリック/グロリアがそれにあたる。このときもまさに第2次オイルショックの最中で、単にハイパワー車を出すということでは認可は下りなかった。そこで日産は“排気エネルギーを再利用することでエンジン効率を高める”という説明のもと、スポーツカーではなく、あくまでもジェントルなセドリック/グロリアで、しかも燃費向上が果たせたからこそ市販化の実現にこぎつけたのだった。
搭載エンジンは当時の直6の2L、L20E・T型。ベースのNAが130ps/17.0kgmだったのに対し、145ps/21.0kgmへと大きく引き上げられ、上位の2.8L(145ps/23.0kgm)にほぼ匹敵するスペックをもっていた。
ターボユニットは定評のあったアメリカのギャレット・エアリサーチ社製のT03、当時のタービンは潤滑をエンジンオイルに頼っていて、高速走行後などは焼き付き防止のためにすぐにエンジンを止めないようにと表記したマニュアルがあった。
写真のカタログは1982年のもので、記憶から落ちていたのだが当初は5速MTのみで登場。このカタログの年式では、諸元表を見ると“日産マチック”とかつて呼んでいたAT(4速)のみの設定になっており、フロア式のほかにコラム式が用意されていた。
日産のターボ搭載車が一気に増えていく
さて、セド/グロの登場以降、日産のターボ攻勢は、まさしくターボを効かせたかのように一気呵成に始まった。順番に車種を列挙してみると、910ブルーバード(1980年3月)、C210スカイライン(1980年4月)、シルビア/ガゼール(1981年5月)、初代レパード/同TR-X(2L=1981年7月、3L=1984年6月)と続き、さらに1.5Lのサニー(1982年9月)も登場した。
少し整理しておくと、ブルーバードとシルビア/ガゼールが搭載したのは、4気筒の1.8L、Z18E・T型で135ps/20.0kgm(Z18E型=115ps/15.5kgm)というスペック。ブルーバードのカタログを見ると“ターボチャージャーが驚くほどのパワーアップを実現する原理を利用して、1980年代が要求する省燃費、低騒音、そして排ガスのクリーン化をめざしています”としており、エンジンにマッチさせた“ターボトルコン”なるATが設定されたり、ノックセンサーも採用していた。
スカイラインと初代レパードには、セドリック同様に6気筒のL20E・T型を搭載。スペックは145ps/21.0kgmと共通。ただし車両重量はスカイライン(セダンの1205kg〜ハードトップの1245kg)、レパード(2ドアの1195kg〜4ドアの1205kg)、セドリック/グロリア(セダンの1385kg〜ハードトップの1485kg)とモデルごとに当然ながら差があった。この3車種では、ノッキング制御機能をエンジン電子集中制御システムに組み込み、カタログで“ECCS TURBO”を謳うレパードが、当時の10モード燃費で10.5km/Lと、セドリック/グロリア(車両重量1485kg)の8.4km/Lに対して、L20ターボ中、最良の燃費データをモノにしていた。