世界オークションに見る自動車相場
ここ最近、オジサン世代がスーパーカーブーム全盛時に盛り上がったクルマのオークションにおける落札価格がやや値下がり傾向にある。その余波で、ほかのクルマの相場もリーズナブルなプライスになったかな? と思っていたが、ラスボス的な真打ちが控えていた。プロレスラーの力道山や俳優の石原裕次郎さんが所有していたことでも知られるメルセデス・ベンツ 300 SLがスゴイ金額で落札されていたのだ。
メルセデス・ベンツ 300 SL
落札価格:7億9170万円
アメリカ合衆国アリゾナ州フェニックスで2022年1月27日に行われた「RMサザビーズ AUCTION」において、ボディカラーがシルバーグレーメタリックの1955 Mercedes-Benz 300 SL Alloy Gullwingが682万5000ドルで落札された。
1ドル:116円で換算すると、なんと7億9170万円だ。 モロッコのカサブランカにあるメルセデス・ベンツ代理店のジョセフ・ヴェッカーレに新車で納品されたという個体で、ナンバーマッチしているエンジンとオリジナルのアロイボディを保持している数少ない一台とのこと。
ガルウィング・グループとMBCAのナショナル・プレジデントであるハイアット・チークが32年間所有し、1975年からポール・ラッセル社でメンテナンスされてきたのだという。 同じオークションでは、1964 Mercedes-Benz 300 SL Roadsterも落札されたが、こちらは231万5000ドル(1ドル:116円で換算すると、2億6854万円)であった。
最後から3番目に納車された個体と思われ、ディスクブレーキと合金製エンジンブロックを装備した、後期生産車218台のうちの1台なのだという。42年間ワンオーナーで、ヨーロッパスタイルのヘッドライトレンズと稀少なストーンガードを備えている欧州仕様の車両だ。
いつの時代にもメルセデス・ベンツ300 SLは高価だったと記憶しているが、素性がいい個体だと、いまだに8億円近い金額で取り引きされることに驚いてしまった。8億円の300SLガルウイングと比較すると、欧州仕様の300 SLロードスターのほうは安いのね、と思ってしまうが、それでも3億円ほど用意しないとゲットできないので、相変わらずドイツの雄は夢のクルマだ。
マセラティ・ボーラ
落札価格:3118万800円
アリゾナ州フェニックスで2022年1月27日に実施された「RMサザビーズ AUCTION」では、往年のスーパーカーも落札されたので、その情報も記しておこう。イタリアを代表する工業デザイナーであるジョルジェット・ジウジアーロ(イタルデザイン)がコーチワークを手がけた、1978 Maserati Bora 4.9が26万8800ドルで落札された。
1ドル:116円で換算すると、3118万800円だ。高額なので当たり前だが、保存状態が非常にいいとのこと。 マセラティのボーラやメラクは日本ではマイナーなスーパーカーだといえ、とくにUS仕様の大きなバンパーを持つ仕様は不人気だと言っていい。
一時期400~500万円ぐらいで買えたような気がするが、オークションにおけるスーパーカーの価格が落ち着いてきたとはいえ、それがいまでは3000万円オーバーなのだ。ビックリである。
フェラーリ308GTBクラブレーサー
落札価格:714万5600円
その一方で、安価で落札されたフェラーリもあった。ドクター・テリー・マクソン・コレクションから提供された1979 Ferrari 308 GTB Club Racerが6万1600ドル(1ドル:116円で換算すると、714万5600円)で落札されたのだ。
かの有名なボブ・ウォレス(初期ランボルギーニのテストドライバー)によって競技用にリビルトされたエンジンを搭載しており、13年という年月をかけて、フェラーリ 288GTOのスタイルに改造された個体だ。
2012年から2018年まで、アメリカ南西部にある数々のサーキットでキャンペーン(内容不明)に使用されたそうだ。レース仕様のコーチワークが影響し安価だったのだと思うが、日本で一番安かったときに450万円ぐらいだったので、こちらは、ちょっと頑張れば買えるかもしれないと、今でも思わせてくれるステキな存在である。