「N-BOX」の販売台数日本一の秘訣はインテリアにあり
日本一売れている軽自動車といえば「ホンダN-BOX」です。2017年~2020年は登録車を含めた新車販売台数でも、4年連続日本一になるほど支持されています。それだけの人気を集める理由のひとつは、驚くほど広くて使いやすいインテリアにあることは間違いありません。いまや日本車のスタンダードといえるN-BOXのインテリアを見ていきましょう。
広々とした室内空間とフレキシブルなシートアレンジ
N-BOXは軽自動車の中ではスーパーハイトワゴンというカテゴリーに分類されます。おおよそ全高1800mm前後、後席がスライドドアになっているのが、このカテゴリーであることを識別するポイントです。
それだけ背が高いということは、室内高にも十分以上の余裕が生まれます。N-BOXの全高はFFモデルで1790mm、そして室内高は1400mmもあります。小学生低学年くらいのお子様であれば立ったまま着替えができてしまう広い車内になっているのです。
ちなみに、全長は3395mmですが、室内長は2240mmを確保しています。エンジンを小さく、キャビンを広くというのはホンダ伝統の「MM(マンマキシマム・メカミニマム)」思想によるものですが、まさにMM思想を極めた車内空間をN-BOXのパッケージは実現しているというわけです。
またフロントシートは左右がくっついているように見えるベンチシート仕様と、助手席が最大570mmも前後に動かせるスーパースライドシート仕様から選べるのも特徴です。リヤシートも左右独立して190mmも前後スライドできるようになっています。どの席に座っても広々とした空間を楽しめる、それがN-BOXのキャビンです。
それだけではありません。荷物の積みやすさにもこだわっています。たとえば、後席はチップアップ(座面を跳ね上げる機能)とダイブダウン(フラットに格納する機能)を兼ね備えています。
ダイブダウンすれば、27インチサイズの自転車が収まるほどの大きなラゲッジスペースが生まれます。後席チップアップにより生み出した大きな空間はスライドドアからアクセスできますから、狭い駐車場などでテールゲートが開けられないときでもたくさんの荷物をスマートに積むことができます。使えば使うほど、その魅力にとりこになるのが、N-BOXのインテリアというわけです。
明るく暖かい内装の「標準」と、硬派でクールな「カスタム」
さて、N-BOXには「標準」と「カスタム」の2タイプが用意されています。外観では、バンパー、ヘッドライト、グリルといったフロント周りの意匠がまったく異なることで知られている標準とカスタムですが、じつはインテリアもそれぞれのキャラクターに合わせて素材やカラーが変えられているのは、ご存知でしょうか。
まずカラーでいえば、標準はブラウン×アイボリーとなっています。シートカラーも2トーンで、シート地はトリコットです。定番らしいシックで落ち着く色味になっています。
一方、カスタムのインテリアはブラック×ガンメタです。シートは中央にアクセントとなるラインが入ったもので、シート地はNAエンジン車がトリコット、ターボエンジン車はプライムスムースとトリコットのコンビタイプとなっています。
さらにカスタムのターボエンジン車だけには、本革セレクトノブ(シフトノブ)が標準装備されています。ちなみに、ステアリングホイールについては標準、カスタムともターボエンジン車にはパドルシフト付き本革仕様となります。
こうした素材とカラーの違いにより、パッと見たときの印象はかなり異なるものとなっています。ドアの内張りなど樹脂パーツの色もそれぞれテーマに合わせられているのも、そうしたイメージづくりには大いに貢献しています。
室内空間の雰囲気は、標準とカスタムではまるで異なっています。標準は明るく暖かいムード、カスタムは硬派でクールなキャビンといったように外観同様、個性を明確に分けているのです。わかりやすいのがドアハンドル周りのパネル色です。標準は爽やかなマックスアイボリー、カスタムは深みのあるマルチブラック偏光塗装となっています。
このように毎日の運転で目に入る場所を、しっかりとわけていることでそれぞれの個性を主張しているのがN-BOXのインテリアなのです。
それでいて、使い勝手に影響する設計部分には差別化はしていません。使いやすさの追求は、標準でもカスタムでも共通なのです。