希少なFR+MTというパッケージで誕生した初代86&BRZ
GR86/新型BRZがデビューしたが、今こそ初代86/BRZに乗るという手もある。なぜ、今このタイミングで先代なのか、先代のメリットはなんなのか、先代86を2台乗り継ぎ、現在はGR86に乗る筆者が解説する。
初代のチューニングについてノウハウは豊富にある
ありがちに言えば、先代86/BRZはまだほぼ新車しかないGR86/新型BRZに比べれば安く手に入る。だからオススメ、というのはあまりにも薄っぺらい。
なぜここであえて先代という選択肢を出すか、それは先代ならいじり放題で遊び放題、さらにどうしたら壊れるかまで解明されているからだ。
GR86は素晴らしいクルマだが、まだECUチューンができないのでパワーチューンは不可。ミッションもどのくらいのパワーを許容するか不明である。電子制御による姿勢制御もボタンの長押しでどこまでカットできるかなど、まだ未知数な部分が多いのだ。
オススメ理由その1:300psまでならサクッと楽しめる
ノーマルで200psのエンジン。スーパーチャージャーキットはHKSからリリースされている。ターボキットはHKS、TRSUT、BLITZから販売。いずれも250~280psくらいまでパワーアップが可能だ。
エンジン的には350psが許容の上限というのが、各メーカーやチューナーのおおまかな見解。それよりも心配なのはミッション。ノーマルでも使い方によっては壊れることがあるので、その許容限界が300psくらいなのだ。
予算的には50万円からスタート。上限は100万円くらい。150万円で車両を買ってきて、50万円で過給器をつければ、GR86よりも刺激的なパンチ感は得られる。
オススメ理由その2:ECUの書き換え方法も確立済み
現代チューニングのキモとなるECU書き換えは、さまざまな方式が用意されている。もっとも手軽なのはHKSフラッシュエディター。OBD IIポートに接続すれば、誰でもリミッターカットとチューニングデータのインストールができる。このデータでも十分体感できる速さは得られる。
究極のパワーを求めるならチューナーによる現車セッティングが有効。こちらもさまざまなツールがあるが、どれでやるかよりも、チューナーがどう合わせ込むかが腕の見せ所。コストはフラッシュエディターで7万7000円。ECUチューニングで10~15万円ほどだ。
オススメ理由その3:ミッションの対策も用意されている
ガラスのミッションというほどではないが、決してタフなミッションでないのも事実。いくつかの対策を施せばトラブルの可能性はグッと下げられる。
まず、シフトガイドを支持するカバー内の樹脂ブッシュが摩耗して、異なる位置に噛み込むことがあるので、これを金属ブッシュにするチューンがある。次に4速の内部だが、他車のギヤはニードルベアリングだが、86/BRZでは金属カラーになっていて、ここの油膜切れが起きやすい。そこでここにDLC(ダイヤモンドライクカーボン)加工をすることで、潤滑切れによる焼き付きを防ぐことができる。
ミッションの対策はオーバーホールと同時に行うことになるので、それ相応の費用は掛かる。しかし、ミッション新品は約30万円なので、オーバーホールと対策をしたほうがはるかにリーズナブルだ。
NAのままやターボ化など楽しみ方が豊富にある!
普通に遊ぶならいくらでもパーツはある。とにかくあらゆるパーツがリリースされていて、選び放題なのが86/BRZの利点。NAチューンで回す楽しみを狙うこともできる。あえてNAで排気量アップしてトルクを出すのもあり。排気系がそのまま使える手軽なスーパーチャージャーチューンもあれば、よりトルクフルに仕上げられるターボキットもラインアップされている。
それらで普通に乗るならもちろん、サーキットをガンガン走って遊ぼうというときにも、必要な対策も解明されている。いまこそ、安心して存分にチューニングライフを満喫できるのが先代86/BRZだ。