高騰ゆえに潰されず純正部品の供給やリプロパーツの開発も盛んに
つまり、現在の世界的な高騰はアメリカの25年ルールだけが原因ではなく、世界中のコレクター、クルマ好きから引き合いがあるため起こっているのだ。しかも、円安になるとその引き合いはさらに激しくなる。今、海外に日本のスポーツカーが流出し、本来ならば年式とともに相場が下落するはずなのに高騰したことで、気軽に手に入れることが難しくなっているのは確かだ。また、日本の宝であるスポーツカーが国内からなくなることを快く思わない人もいると思うが、この世界的な高騰はメリットもいくつかある。
海外での評価、世界的な認知度向上はもちろんだが、一番は相場が高騰しているゆえに、本来は廃車されるはずの個体もレストアされ社会復帰。潰される可能性が減り、生き残る可能性があることだ。
レストアするために必要な純正パーツも頻繁に部品が動けば、メーカーも製造廃止する訳にもいかず、人気車種となれば仮に純正部品が廃止となっても、アフターパーツメーカーがリプロパーツを開発する可能性は高い。実際にハコスカ、ケンメリ、S30フェアレディZなどは復刻部品が出揃っており、レストアやリフレッシュの体制は整っている。
将来は輸出されたクルマを買い戻すこともありえるかも⁉
第2世代と呼ばれるR32、R33、R34のスカイラインGT-Rのパーツもアメリカやオーストラリアで日本には存在しないパーツが数多く誕生。それらが輸入され、レストアやチューニングに活用されている。マイナスに捉えられがちな日の丸スポーツカーの流失だが、すでにこのようなメリットも生まれている。
また、価格が高騰しているので、失礼な言い方にはなるが懐に余裕があるオーナーにしか手に入れることが難しく、こうした特殊なクルマを手に入れるのは相当のクルマ好きか、コレクターなので大切に保管、メンテナンスされることが予想される。
気候の面でもアメリカの西海岸などは日本よりも湿気がなく、クルマを保管するには適している。今後の相場は予測できないが、相場がある程度下がれば、遠くない将来にコンディションのいい個体を求めて、輸出されたクルマを日本に買い戻すという現象が起こらないとは限らない。
10年前のような底値になることはないだろうが、タマ数は極端に減らないので、本気で手に入れたいのならばチャンスは残されている。ただし、旧車を維持するには財力と根気は必要。覚悟が必要なのは今後も変わらないのだ。