あのパイクカーがこんな姿に……史上最速フィガロの正体とは
1月14日(金)に開幕し、3日間開催された東京オートサロン2022。コロナ禍で開催にはさまざまな感染対策が行われ、いつものオートサロンとは違って少し寂しさのある雰囲気ではあったが、多くの来場者が訪れた。そんななか、会場の幕張メッセ・中4ホールを歩いていると、違和感を感じさせる赤いボディカラーとレトロなフォルムが可愛らしいフィガロが佇んでいた。その様は、皆が知る日産フィガロの姿でありながらも、いかにもやる気に満ちたスタイリングで独特のオーラが漂っていた。このフィガロ、一体何者なのだろうか!?
紆余曲折の悲しいエピソードが製作開始のきっかけに
この「RFY Figaro GT 2000」を製作したのは、ホンダのNSXやS2000のエアロパーツやレーシングカー製作、チューニングなどを得意とするRFY(レーシングファクトリーヤマモト)だ。このフィガロGT2000が完成するまでには、借りパクされたりエンジンブローを経験するなど、沢山の紆余曲折エピソードがあったようだ。詳細は長くなるので割愛するが、RFY代表の山本さんのフィガロへ固執するこだわりと、誰もが二度見する魔改造ポイントを見ていきたい。
S2000のフレーム&エンジンにフィガロのボディを搭載
「自分の好きな、おもちゃのようなレーシングカーでモータースポーツを楽しみたい」をコンセプトに、S2000のフレームにフィガロのボディを載せてフィガロGT2000が作られた。製作するにあたって、スペシャルなパーツを投入するのではなく、普通に買えるパーツか、自社製品しか使わないという独自ルールを設けてプロジェクトが始まった。
何といっても目を惹くのが巨大なGTウイング。これは自社製品のS2000用を使っているそうだ。外装は、フロント&リヤフェンダーや各スポイラー、サイドステップなどはGTマシン風に作られている。そのほかにもオルガン式ペダル、プッシュロッド式のサスペンション、ロールバーだらけの室内など、見た目はまさにレーシングカーそのもの。もちろん、見てくれだけ“やってる感”を醸し出しているのではなく、中身もしっかりサーキット仕様だ。
縦置きでエンジン収めたらフロントミッドになっちゃった!?
エンジンはS2000の「F20C」を搭載し、駆動レイアウトもFFからFRに変更されている。縦置きのエンジンがフロントの大部分を締めてしまうため、ドライビングシートが4シーター車や5シーター車の後席ぐらいのポジションに位置している。それがかえってフロントミッドシップを実現している(!?)。車両をひと目見た海外からの来場者が遮二無二に動画と写真を撮りまくっていた気持ちがわかるほどの迫力だ。
とはいえ、これだけレーシーな見た目になるよう手を加えているが、フィガロ本来のメッキパーツをしっかり残しているところも遊び心たっぷり。ほかにもサイドスカートの縁をメッキ調にしていたりと、レトロな雰囲気をちゃんと残している点が、先に触れたコンセプトをしっかり具現化しているポイントだ。
今後は、サーキットへ持ち込んでテストし、さらに走りにこだわっていくという。「クルマのビジュアルはファッションのように自己表現したもので、ビジネス抜きの完全な趣味のクルマであること」と、山本代表は車両製作のポリシーを話す。クルマ好きがついついカスタムしてしまう本能や信念を、このフィガロGT2000が物語っているように感じた。