軽自動車のなかで圧倒的人気のハイトワゴンの使い方
爆発的な売れ行きを記録する軽自動車。経済的で快適性も高い軽自動車のなかでも「ハイトワゴン」と呼ばれるモデルは人気が高く、アウトドアから日常生活までをカバーするマルチプレイヤーとして注目を集めている。ここでは都市部に暮らす人にこそ最適なクルマとして「背の高い軽自動車」の魅力に迫る。
日本独自の規格「軽自動車」ってどんなクルマなのか
1949年に日本の経済復興を目的として開発された国民車的存在が軽自動車だ。最初は360ccの排気量から始まり、550ccそして現在の660ccへと拡大され、普通乗用車とは異なる独自の進化を遂げてきた。排気量やボディサイズの規制がありながらも、その枠のなかで最大限の快適性と性能を研ぎ澄ませてきた軽自動車だが、近年は車両の全高を最大限まで使ったハイトワゴン(トールワゴン)やスーパーハイトワゴンと呼ばれる“背高ノッポ”のモデルが大きな人気を博している。
ちなみにト―ルワゴンは全高が1630mm程度、ハイトワゴンは1700mm以上と区別されることが多く、呼称には明確な規定は存在しないものの、どちらとも背の高いワゴンであることに変わりはない。最近ではハイトワゴンの売れ行きが高く、アウトドア志向のユーザーが増えたことも売れ行きを支える大きな要因となっている。ちなみに現在の軽自動車規格は全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下、排気量は660cc以下と定められている。
経済的でコンパクトゆえの取り回し性が最大の武器に!!
軽自動車を選ぶ最大のメリットは、コンパクトなボディサイズに起因する取り回しの良さとともにランニングコストを安く抑えることができる点だ。軽自動車は普通車と比較すると税金が安く、燃費性能も優れている。普通車の自動車税は年間2万5000円(1リッター以下)~11万円(6リッター超)となるが、軽自動車は軽自動車税として年間1万800円となり、お得感は高い。また、ハイブリッド車でなくともカタログ上での燃費は20km/Lを越えるモデルも多く、燃料費が高騰していることを考えると燃費の良さも軽自動車の大きな武器といえるだろう。
軽自動車はボディサイズに規制があるため、どのモデルも全長と全幅はギリギリまで使いきっているのが現状だ。最近は最後の砦として規制枠の2.0m以下という全高を有効に利用する設計がトレンドとなり、運動性能やバランスを図りながら1800mmを越えるモデルも登場している。全長と全幅を使い果たした軽自動車はハイトワゴンとして「上」への成長を続けているのだ。
日常生活はもちろん非日常空間へのトリップでも大活躍
全高を伸ばしたハイトワゴンは、子どもなら立って歩けるほどの室内高を誇り、シートアレンジとの融合により絶大な快適性を発揮する。余裕のある室内高は、家具や家電製品などの大きな荷物や背の高い観葉植物を運搬することができ、突然の雨の日のお迎えではママチャリごと連れて帰ることもできる。その利便性は日常生活だけでなくアウトドアでも大きな味方となり、キャンプ道具やMTB、釣り道具など趣味のアイテムを満載することで、ライフスタイルのフィールドを大きく広げてくれるはずだ。
最近では車中泊のお供としても人気が高く、日常生活から週末のアウトドアまでを網羅してくれる頼れる相棒として販売台数を伸ばしている。
自慢の荷室の高さが逆に危険になることも……
注目のハイトワゴンだが、その使い方には「コツ」がいる。室内空間が広いといっても軽自動車枠のなかでのことであり、縦方向(室内の奥行き)と横方向(室内幅)の使い勝手には限界がある。要するにハイトワゴンならではの「高さ」を上手に利用できなければ、ハイトワゴンの魅力をフルに生かすことはできない。では、ハイトワゴンを上手に利用するにはどのような方法があるのだろうか?
ハイトワゴンの利便性を最大限に引き出すには、室内空間を立体的に考えることだ。荷物を平置きにしてしまえば、一般的な軽自動車と利便性は変わらない。荷物を高く積むことがハイトワゴンの利用価値であり、そのためにはコンテナボックスや簡易的な棚を利用し、高さを活かした立体的な積載を行うことが鍵となる。
また、天井の高さを利用してアシストグリップに装着するポールやネットを使えば、余裕のある頭上のスペースに荷物を置くことができ、釣りを趣味とする人ならばサードパーティ製の専用ラックを使って釣り竿を収納するのもおすすめだ。もちろん、荷物を立体的に積載する場合には、発進や制動時に荷物が崩れないようにネットやタイダウンベルトなどを使ってしっかりと固定すること。荷物が後方視界を妨げてしまう場合には慎重な運転を心掛けよう。
取り回しが良く、経済的な軽自動車。そのなかでも利便性が高く日常生活と趣味の時間を両立してくれる「ハイトワゴン」は、多忙な都市生活者にとって大きな味方になるはずだ。ランニングコストが安く、維持しやすい軽ハイトワゴンでライフスタイルを充実させるのも悪くない。