今となっては死語になった用語たち
言葉というのは時代で変化するもの。クルマ関係でも同様で、当たり前に使っていたものが次第に使われていかなくなって、懐かしかったり、死語になったりする。ただ忘れされればいいが、思わず使ってしまうと、言ったほうもシーラカンス(死語)扱いだったりする。言いたければ言わせておけばいい。扱いたきゃ、扱わせておけばいい。ということで、今やあまり使われなくなったクルマ用語を集めてみた。
エンコ
エンジン故障を縮めてエンコ。最近のクルマはめったに止まらないが、その昔はけっこう不意のトラブルでエンジンが止まることがあったので、よく使われた。
セコハン
せこいハンドルとかではなく、セコンドハンド。つまり中古品のこと。今でも一部、中古カー用品店の名前に使われてはいる。
ポンコツ
これは今でもクルマ以外でもまあまあ使うが、クルマの場合はけっこうよく使っていた。
逆ハン
逆にハンドルを切るのを縮めて逆ハン。今だと、カウンターステアなどが使われている。
重ステ
パワステは付いていて当たり前な時代だけに、想像すらつかないだろうが、昔のクルマは付いていなかったし、付いているのは非常に豪華な装備だった。付いていないと、強烈に重たくて大変だった。「うちのは重ステだから……」なんて使った。
ロー、セコンド、トップ
これらはすべてマニュアルミッションの段のこと。セカンドをセコンドと呼ぶのはTシャツをテーシャツと呼ぶのと同じ感覚。
ジャンプ
飛び上がったりでもなければ、漫画雑誌やカツアゲでもなくて、バッテリーが上がった際に、他車から電気を分けてもらうこと。使用するのはジャンプコードだ。最近のクルマはバッテリーを上げてしまうと、電気をもらっただけではエンジンはかかったとしてもほかの部分にエラーが出たりするのでやっかいだが、昔は発電機やバッテリーの性能が低かったので、けっこうやったものだ。JAFを呼ばなくても、タクシーを止めて繋げさせてもらって、お礼を払ったりしていた(もちろんドライバーのおこづかい)
タックイン
FF車のサスペンションなどがレベルが低かったこともあって、コーナーでは非常に曲がりにくいクルマがあった。またチューニングしても同様。その場合、コーナーの進入でいきなりアクセルを戻してブレーキを踏むと、前荷重が一気にかかって曲げてやっていた。意図的にやればテールスライドも可能で、FFドリフトの基本でもあった。
キンコン
これは用語というよりも、「キンコンキンコンうるさい」みたいに使っていて、なんの音かというとスピードの出しすぎ警告の音。超アナログな仕組みだったので、カットしている人もいた。ただ、スピードが今みたいに簡単に出せる時代ではなかったので、鳴ると異次元に突入する感じでよかった。自主規制的に採用していたもので、1980年代半ばには姿を消していった。
バーフェン
オーバーフェンダーのこと。今のクルマも細いのを付けている場合があるが、1970年ごろはけっこう巨大だった。公認を取るのはかなり難しかったので、取り締まり覚悟で付けたりしていた。
オーバードライブ
巡航用のギヤがオーバードライブ。オーバートップとも呼ばれていた。MTの場合は、5速の設定が直結よりギヤ比が低い場合を指していた。ATではスイッチが付いていて、走行状況に合わせて使い分けた。緻密な制御ができていなかった昔ならではの装備だが、1990年代までは装着されていた。
ダブルクラッチ
MT車全盛時代のなかで、シフトが入りにくいクルマやシンクロがヘタって変速するとガリッとなってしまう場合があった。その場合に使っていたのがダブルクラッチで、ニュートラルで一回シフト操作を止めてクラッチをつなげてからまた切ってシフトすると、内部の同調が進むので入りやすくなった。