定義が曖昧だからこそコペンもスーパーカーと呼べるのでは?
そこで文頭のコペンがなぜスーパーカーなのか!? と問われれば、その答えはこうだ。まずスーパーカーの定義を考えると、曖昧ながらおそらく高性能で街を走れば注目の的になるモデルとなる。つまり特別なモデルを指し、それをスーパーカーの定義と定めると、絶対的な速さこそないけれど、海外目線で見れば軽自動車は日本独自の規格で作られたレアモデルであり、フォルムも低いスタンスで2シーターに割り切ったスペシャリティさは、まさにスーパーカーそのもの。
ちなみに、先に挙げた軽自動車のABCトリオは、日本在住の外国人が帰国する際にホビー感覚で持ち帰る(※実際は船便などを使い持ち帰る)ことも少なくないと聞く。速くて大きくてカッコいいのがスーパーなのであれば、その逆である、速くはないけれど小さくて愛らしくレアな日本の軽自動車のオープンカーもスーパーな存在だと言える。その意味ではミッドシップ軽オープンのホンダS660もしかりで、奇しくも衝突安全性で不利なミッドシップで登場したが故に、惜しまれながらも姿を消してしまうのは非常に残念でならない。
至高の時間が堪能できるオープンカーだからこそスーパーな存在
受け売りの持論で恐縮だが「オープンは七難を隠す」。オープンカー(NA型ロードスター)を長年愛用している筆者としては、オープンエアドライブではクルマが遅かろうが、多少乗り心地が悪かろうが、静粛性/積載性のそれぞれがイマイチだろうが、オープンカーで走り出せば多少の困難なら許せてしまう。屋根が開いていればトラックにガンガン抜かれる高速道路であっても至高の時間。死語かもしれないが、スローライフが楽しめる。
FFだって関係ない! コペンは日本が生んだ小さなスーパーカーなのだ
コペンに話を戻すと、小さくて速くはないけれどじつに楽しい走りに加えて、クルマ好きには今なお支持され続けるMT仕様がある。そしてオープンカーという希少性も手伝い、さらに走りを突き詰めたGRスポーツもラインアップする。もしかしたら「駆動方式が大衆車的なFFだから認めない!」という方にはご理解いただけないかもしれないが、コペンはそれでもスーパーカーであると言いたい。
なんといってもスーパーカーフリークだった「ビッグボス」が、自身の誕生日、しかも50歳という特別な節目にコペンを愛車として選んだというエピソードだけでも十分に説得力あり。ダイハツ・コペンは日本独自の文化が生み出したスーパーカーであると言いたい。