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ビッグボスさえも惚れた「ダイハツ・コペン」! ニッポンの軽自動車は偉大だった

2代目ダイハツ・コペン

ビッグボスに見初められたコペンはれっきとしたスーパーカー!!

 2022年、大注目されるキーパーソンのひとりになるであろう「ビッグボス」。プロ野球・日本ハムファイターズの新監督に就任した新庄剛志監督のことだが、自分のことを監督ではなくて「ビッグボス」と呼んでほしいと公言。こうしたことからプロ野球の開幕前から大きな話題を振りまいており、一挙手一投足が連日連夜メディアに取り上げられている。

 そんな「ビッグボス」だが、50歳の誕生日にダイハツ・コペンを購入したとメディアで報道された。プロ野球界には昔からクルマ好きが多く、〇〇選手がランボルギーニに乗ってる、〇〇選手はブラバス仕様のSクラス……といった、なんともバブリーなカーライフが取り上げられてきた。もちろんビッグボスの愛車遍歴にも数千万円の高級車からスーパーカーまで豪華絢爛。ビッグボスとコペンでは、「んっ? 不釣り合いなんじゃないの」と思うなかれ。コペンはれっきとした日本が誇るべきスーパーカーなのである。

ABCトリオに続く4シーターオープンカーとして初代コペンが登場

 初代ダイハツ・コペンの登場は2002年のこと。発売当初は手作業生産が多かったことから数年間の短期生産と言われていたが、売れゆきは好調。なんと2012年まで発売されたロングセラーとなった。ヒットの理由はさまざまだが、まずは1990年代に人気を博した軽自動車のABCトリオ(それぞれ車名の頭文字から名付けられた)の存在に触れないわけにはいかない。

 当時、マツダ(オートザム)AZ-1やホンダ・ビート、スズキ・カプチーノがそれぞれ販売終了していたことから、軒並み2ドアの軽オープンカーやスポーツモデルの販売が終了していくなかで、受け皿が少なかったことが初代コペンのヒットを生んだ要因のひとつ。

 そして「アクティブ・トップ」と呼ばれる電動開閉式ハードトップは、面倒な操作がいらないうえにビニール製などの幌と違って車上荒らしなどに対する不安や耐久性の面で、安心できたことも挙げられる。トランスミッションは4速ATに加えて、5速MTがあったことも大きい。

 モデルライフ中に本革仕様やビルシュタイン製ダンパー、BBS製ホイール、LSD装着仕様の追加もあって、軽自動車のイメージを覆すほどの改良が施されて、次期型モデルの登場が期待されるなか2014年に2代目コペンがデビューした。

2代目は多彩なバリエーションと外装の着せ替えで話題に

 この2代目の特徴は、さまざまなスタイルがあること。最初はスタンダード仕様といえる「ローブ」のみで発売が開始され、その後アグレッシブな個性の「エクスプレイ」、初代を彷彿とさせる愛らしさがある「セロ」、カーボンルーフの「クーペ」、さらに走りに「GRスポーツ」(トヨタとの併売)までが追加されるなど、魅力が薄れないような商品力の向上がなされた。

 もともとボディ外板の一部を樹脂化したことで、ボンネットやフェンダーといった13箇所の外装パーツを自由自在に着せ替えできるドレス・フォーメーションを採用。このを外装の着せ替えによっておもちゃ感覚でカスタマイズできる魅力が大きな話題となり、初代に続き2代目コペンも色褪せることなく長く愛されるクルマとなった。

 これは余談だが、筆者のまわりでもハイエースとコペン、ミニバンとS660、 ハイト系軽自動車とカプチーノといった2台持ちするオーナーがいて、じつに楽しそうなカーライフを送っている。

定義が曖昧だからこそコペンもスーパーカーと呼べるのでは?

 そこで文頭のコペンがなぜスーパーカーなのか!? と問われれば、その答えはこうだ。まずスーパーカーの定義を考えると、曖昧ながらおそらく高性能で街を走れば注目の的になるモデルとなる。つまり特別なモデルを指し、それをスーパーカーの定義と定めると、絶対的な速さこそないけれど、海外目線で見れば軽自動車は日本独自の規格で作られたレアモデルであり、フォルムも低いスタンスで2シーターに割り切ったスペシャリティさは、まさにスーパーカーそのもの。

 ちなみに、先に挙げた軽自動車のABCトリオは、日本在住の外国人が帰国する際にホビー感覚で持ち帰る(※実際は船便などを使い持ち帰る)ことも少なくないと聞く。速くて大きくてカッコいいのがスーパーなのであれば、その逆である、速くはないけれど小さくて愛らしくレアな日本の軽自動車のオープンカーもスーパーな存在だと言える。その意味ではミッドシップ軽オープンのホンダS660もしかりで、奇しくも衝突安全性で不利なミッドシップで登場したが故に、惜しまれながらも姿を消してしまうのは非常に残念でならない。

至高の時間が堪能できるオープンカーだからこそスーパーな存在

 受け売りの持論で恐縮だが「オープンは七難を隠す」。オープンカー(NA型ロードスター)を長年愛用している筆者としては、オープンエアドライブではクルマが遅かろうが、多少乗り心地が悪かろうが、静粛性/積載性のそれぞれがイマイチだろうが、オープンカーで走り出せば多少の困難なら許せてしまう。屋根が開いていればトラックにガンガン抜かれる高速道路であっても至高の時間。死語かもしれないが、スローライフが楽しめる。

FFだって関係ない! コペンは日本が生んだ小さなスーパーカーなのだ

 コペンに話を戻すと、小さくて速くはないけれどじつに楽しい走りに加えて、クルマ好きには今なお支持され続けるMT仕様がある。そしてオープンカーという希少性も手伝い、さらに走りを突き詰めたGRスポーツもラインアップする。もしかしたら「駆動方式が大衆車的なFFだから認めない!」という方にはご理解いただけないかもしれないが、コペンはそれでもスーパーカーであると言いたい。

 なんといってもスーパーカーフリークだった「ビッグボス」が、自身の誕生日、しかも50歳という特別な節目にコペンを愛車として選んだというエピソードだけでも十分に説得力あり。ダイハツ・コペンは日本独自の文化が生み出したスーパーカーであると言いたい。

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