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「速いクルマ=乗り心地が悪い」はウソ! 最新レーシングカーの足は意外にもしなやかだった

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TEXT: 加茂 新(KAMO Arata)  PHOTO: 小林 健/Porsche/日産自動車/Auto Messe Web編集部

レース用ダンパーはフリクションを極限まで下げる

 そこでレーシングカーでは「ハイバネレートで車高は低く、ストローク量も短く」している。でも、しなやかにするために「減衰力は極力最小限」でセットしているのだ。ガチガチに見えるが、乗ってみると意外と柔らかい動きをする。

 そんな理想的な動きに重要なのが、ダンパーの性能だ。低い減衰力と同時にフリクション(摺動抵抗)の少なさが要求される。このフリクションが大きいと、バネの硬さにフリクションがプラスされ、ろくに沈まずにドライバーは車内でジャンプしてしまう。

 フリクションを極限まで下げるためには、ダンパー内の各パーツの高精度な仕上がりと、抵抗を抑えるコストの掛かる表面処理などが行われたりする。数百万円のレーシングサスペンションには相応の理由があるのだ。

2022年のSUPER GTに参戦する新型「Nissan Z GT500」

目指すところは「硬さ」ではなく「しなやかさ」

 市販のサスペンションだと正直、レーシングサスペンションほどの性能はない。そこまでフリクションを減らせるようにすると途方もない金額になってしまう。なので、ストリートカーでバネレートを高くすると、いまだに乗り心地が快適とはいえないことも多い。結果的にガチガチになってしまっていることもあるのだ。

 だが、目指すところはガチガチにしたいわけではなく、短いストロークのなかで、できるだけしなやかに、タイヤと路面がずっと接しているようにしたい。これが現代のサスペンションの考え方なのだ。

ストリートカーでも「しなやかさ」を追求してサスペンションを仕上げたい

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  • カルソニックスカイライン
  • いかにも乗り心地の悪そうなポルシェ962Cだが
  • 今年のSUPER GT GT300クラスに参戦する「apr GR86 GT」
  • 「ストロークは短く、でもしなやか」という、矛盾した足まわりが求められる
  • 2022年のSUPER GTに参戦する新型「Nissan Z GT500」
  • ストリートカーでも「しなやかさ」を追求してサスペンションを仕上げたい
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  • 加茂 新(KAMO Arata)
  • 加茂 新(KAMO Arata)
  • チューニングライター。1983年生まれ。父が初代VWゴルフ、シトロエンBX、ZXなどを乗り継いでいた影響で16歳で中型バイク(ZRX400)を購入し、大阪芸大時代にAE86を購入。卒業後はチューニング&ドラテク専門誌を15年間製作し(約2年の編集長を含む)、数多くのレースにも参戦。2021年春よりフリーランスとなる。過去には180SX、S15、NA8、SCP10、86前期&後期を所有。現愛車はAE86、GR86、ZC33Sスイフトスポーツ、CBR954RR。
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