乗員の生存空間を確保するための装備
モータースポーツに参戦している車両の車内に張り巡らされているパイプ状のもの。これはロールケージ、もしくはロールバーと呼ばれ、モータースポーツ参戦車両には必須のアイテムとも言えるものだ。
なお、よくロール“ゲージ”と間違えている人がいるが、正しくはカゴを意味するロール“ケージ”が正解。そのため、フロント部分までを覆う6点式以上をロールケージと呼び、リヤのみの4点式などをロールバーと呼ぶケースが多い。
そんなロールケージが果たす最大の役割としては、乗員保護が挙げられる。限界域で走行するモータースポーツではちょっとした運転ミスや車両トラブルが大クラッシュに繋がる可能性も高く、万が一クラッシュが起きてしまったときでも乗員の生存空間を確保することで、最悪の事態を防ぐために装着されているのだ。
モータースポーツでは参戦車両にロールケージの装着が義務付けられている
そのため、多くのモータースポーツでは参戦車両にロールケージの装着が義務付けられており、カテゴリによってはパイプ径の太さや材質、そしてパイプの点数まで細かく規定されているほどなのである。
オープンカーでは、横転時に路面と乗員の頭が接触しないようにシート後方にバーのようなものが設置されていたり、高級モデルであれば横転を感知した瞬間にバーが展開したりするものもあるが、これも広義ではロールバーの一種となる。
ちなみに一般ユーザーがサーキット走行を楽しむ、いわゆるスポーツ走行においてはロールケージの装着は義務付けられていない。しかし、サーキットによってはオープンカーには装着を促しているところや、ロールケージの装着した車両であればオープンにしての走行が許されているところも存在している。
きちんと対策すれば車検は問題なくパスできる
もちろんロールケージを装着した車両であっても、乗員に近い部分のバーに緩衝材を装着したり、後部座席にまで伸びるタイプを装着して後部座席に人が座れなくなった場合でも、乗車定員の変更をしたりすれば車検も問題なくパスできる。
また、ロールケージの装着によって得られる恩恵は安全性の向上だけではなく、ボディ剛性のアップもそのひとつだ。
とくに点数の多いロールケージであれば、ボディの要所とボルト留め、もしくは溶接による固定をするため、ボディの余計な動きが抑制されることでボディ剛性が向上。サスペンションが良く動くといった恩恵を受けることができる。
ただし、スチール製の6点式のロールケージでおよそ15~20kgほどの重量増があるため、走行するステージによっては剛性アップよりも重量増のデメリットが出てきてしまう場合もあることは頭に入れておきたい。
ドレスアップ系ユーザーにも支持されている
そして最後の恩恵は、やはりなんといってもその存在感。本格的なレーシングカーを彷彿とさせるそのスパルタンなルックスは、スポーツ走行をしないドレスアップ系ユーザーにも支持されており、軽量なアルミ製のロールケージもリリースされているほど。
もちろんアルミ製ロールケージではモータースポーツに本格参戦することはできないが、重量増を最小限に留めてドレスアップ効果をプラスしたいユーザーには支持されているようだ。
このようにスポーツ走行を楽しむ人だけでなく、ドレスアップ系ユーザーからも注目されているロールケージ。意外とさまざまな車種用のものがリリースされており、なかにはワンオフで作ってくれるところもあるので、気になる人は検索してみてはいかがだろうか。