今見るとオシャレなレザートップを振り返る
クルマにまつわる懐かしい装備にも、さまざまなモノがある。レザートップはそのなかのひとつだろう。日本では1960年代の終わりごろから1970年代の初頭にかけて、当時をリアルタイムで過ごした人なら「ああ、よく見かけたねぇ」となるだろうし、生まれる前の出来事だという人にとっては「何コレ!? 新鮮じゃん!」の印象を持つかもしれない。
今回、この記事のためにザックリとだが、過去の日本車のレザートップを洗い出してみた。すると車種の世代でみると、範囲でいうと1967年〜1977年、このうち1968年〜1972年(設定車種の世代の最後までとする)に集中してレザートップを用意するクルマが登場した。案外と短期集中型だったというか、一瞬のことだったとも言える。筆者の記憶次第ということで、あるいはほかに落としている車種があるかもしれないが、そのあたりは「レザートップの代表車種といえば、そうそうこんなクルマだったよね」と、大目に見ていただきたい。
レザートップはアメリカで車で流行った
なおこのレザートップはもともとはアメリカ車で流行り出したもの。フルサイズのクーペやハードトップ、セダンでレザートップを粋に着こなす車種が数多く見られた。さらに元を正せば、レザートップはオープンモデルのソフトトップを模したもので(さらに遡れば馬車の時代の話になる)、クローズド・ボディのクルマでもオープンモデルの優雅な雰囲気が嗜める……そんなところに魅力があったのだろう。
トヨタ車ではカローラからクラウンまで設定された
まずトヨタからいくと、代表的な車種としてはクラウン、コロナ・マークII、カローラ/スプリンター、セリカなどがあった。とくに1968年に登場した初代コロナ・マークIIのハードトップのレザートップは印象深い。当時、筆者は20分の1スケールのプラモデルを作った覚えがあり、ぜひレザートップに仕上げようと思うも小遣いが足りなくなりプラカラーが買えず、無謀にも手近にあった黒いマジックインキでルーフを塗った覚えがある。油性のマジックだったから、偶発的にプラスチック表面の艶が適度に落ちて「なかなか雰囲気が出せたじゃん」と納得していたような……。
それと1970年の2代目カローラ/初代スプリンターのクーペにもレザートップがあった。赤いボディに黒のレザートップのスプリンター・クーペに乗っている友人がいたから間違いない(笑)。レザートップは必ずしも上級車種に限らず展開があったというわけだ。ほかにスポーティ系では初代セリカのクーペにも。
そしてクラウンでは、1968年の3代目で登場した最初のハードトップ以降、1983年まで続いた6代目のハードトップでも設定があるなど、レザートップが長く使われた
日産車のレザートップはチェリーにも設定があった
日産も乗用車系の車種が今よりもずっと豊富だった時代だから、レザートップの設定は数多く見られた。車種でいうとセドリック/グロリア(1971年・230型)、ローレル(1968年・初代C30型)、スカイライン(1968年・3代目C10型)などはお馴染みだろう。
このなかでローレル、スカイラインでは白(というかオフホワイト)のレザートップの設定があり、眩しいくらいの存在感を示していた。
それと1970年に登場したコンパクトカーのチェリーにも、何とレザートップの設定が。写真はカタログ最終ページのオプションを紹介したもので、霧のなかでフォグランプを点灯していることがわかるカットになっているが、よく見るとセダンだがレザートップだ。アイテム紹介の文字の部分でも”いっそうおしゃれな夢のファッションパーツ”のなかにリストアップされている。一方でクーペは、ルーフ前半をレザートップとした個性的なデザインが採用されていた。