ディーラー側のコンプライアンスが厳しくなり入庫NG車が続出
好みのアフターパーツを組み込んで愛車をカスタマイズしているユーザーにとって、ハードルになっているのがディーラーの入庫拒否だろう。以前からヘビーカスタムしたクルマは、ディーラーへは入庫できないことはままあったものの、近年はコンプライアンスがどんどん厳しくなり、ディーラー側も自社を守るためにライトカスタムでも入庫を断ってくるケースも多い。
ユーザー側からしてみれば「保安基準に適合しているので問題ないはず」と思っていても、ディーラー側からは合法性が疑わしいクルマはなるべく扱いたくないというのが本心のようだ。保安基準に適合しないクルマを入庫させて整備や車検を実施した場合、最悪の場合、指定工場であるディーラー側はペナルティを受け、大きな損害を被ることになるので慎重にならざるを得ない部分もあるのだ。
では、どんなカスタマイズが目を付けられやすいのだろうか? 爆音マフラーなどは論外だが、一般的には外観から見ていかにも“カスタムしています”という派手なエアロやウイング、ホイールなどを履いてる場合には要注意だろう。
入庫NGカスタム01:ギリギリを攻めたローダウンやツライチは要注意
なかでも要注意のポイント筆頭となるのはロワード(ローダウン)だ。保安基準では最低地上高が9cmなのだが、ギリギリのラインを攻めてロワードフォルムを作りたいのがカスタムユーザーの偽らざる心境だろう。だが、これだとデイーラーからは“限りなくグレー”と見られて入庫を断られることもあるようだ。
またフェンダーからのタイヤ&ホイールのハミ出し、いわゆるハミタイもNGの項目だ。「リムがフェンダー内に入っているので大丈夫」など、自己判断ではOKだったとしてもディーラー側ではNGになるケースも多い。せっかく苦労してツライチセッティングを出したのに、入庫拒否になってしまうケースもあるので注意が必要だ。
入庫NGカスタム02:規定値を超えたボディ寸法は構造変更が必須
またフルバンパーのエアロやオーバーフェンダーを装着した車両は、ディーラーから「全長、全幅が合法範囲を超えてるのでは?」と疑られるケースも少なくない。もちろん構造変更すれば合法なのだが、ディーラー側はカスタム車両にそこまで積極的に関わってくれないと考えておいた方が良いだろう。
入庫NGカスタム03:ドライブレコーダーは取り付け位置に注意
さらに、意識せずに保安基準不適合になっているケースもあるので、カスタマイズする際には注意したい事例を挙げてみよう。これはディーラー出入り云々の前に法的な問題なので要注意だ。例えばフロントガラスにステッカーを貼ることもじつはNGだ。レーシングマシンを模したステッカーチューンをフロントウインドウに施し、「この程度だったら大丈夫」と思っているケースもあるかも知れないので、あらためてチェックししておきたい。
そしてDIY派のユーザーも注意が必要だ。昨今、注目されるドライブレコーダーの取り付けにも気を付けたい。ドライブレコーダーはフロントウインドウへの貼り付けこそ許可されているアイテムだが、取り付け位置がフロントガラスの上部(20%以内)への設置が必須だ。ウインドウ下部や中央部に取り付けると保安基準に適合しなくなる。設置場所は厳選して基準に適合させよう。
入庫NGカスタム04:細かな規定がある「フォグ」や「作業灯」も要注意
今流行のSUVやクロカンヨンク系の定番カスタムのひとつである作業灯がNGになるケースもある。これもうっかりスルーしがちなケースで、アウトドアで用いることも多いクルマの周辺を照らし出す作業灯は、基本的に運転席でオン/オフの操作ができてしまうとダメ(走行中の点灯もNG)。フォグランプのように運転席周辺にスイッチを設置しているとNGなので、こちらも注意しよう。
また灯火類では、ヘッドライトの色温度にも注意。あまりにも青いバルブを使っている場合も車検不適合となるので、ディーラーではNG車両として見られることになるだろう。
入庫NGカスタム05:エアバッグに悪影響を与える加工処理
変わったところでは内装の加工も注意が必要だ。ドアにサイドエアバッグが装備されたクルマで、スピーカー交換するためにドアの内張りを外したら、エアバッグセンサーの問題からディーラーに問題視されたというケースもある。保安基準適合であることはもちろんだが、メーカーが保証する性能や機能を損なうような加工はNGとなる。ワンオフなどの加工はあくまでも自己責任になることも知っておこう。
とは言っても、きっちり保安基準に適合しているカスタマイズならば、もちろん車検も問題なくパスできるので、どうしてもカスタムしたいユーザーは馴染みのショップを作っておくことで、ディーラー車検&整備に頼らない体制をとっておくのもひとつの手段だろう。
近年ではディーラーのなかにもカスタマイズを積極的に展開する店舗もある。オリジナルパッケージでロワード+ホイールやエアロなどを組み込んだディーラー謹製のカスタムを販売するケースもあるのだ。そんな理解のあるディーラーなら、カスタムユーザーへの対応も優しいはず。カスタマイズの内容を厳選して、うまくディーラーと付き合っていくことももスマートにクルマを乗りこなすには必要な知恵になってくるのかもしれない。