ペダルから足を離すだけで減速できる利点はやはり大きい
さらに、回生を使う減速は、急にペダルを戻せば強い減速が直ちに機能するので、万一の際の衝突安全にも役立つ。アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替えは0.7秒かかるとされるが、ペダル踏み損ないがあれば1秒近くかかる可能性がある。その間もクルマは前進し続けてしまう。ところが、アクセルペダルを戻しただけで強い減速が働けば、その分、停止距離を短くできる。つまり衝突の危険性を下げることができるのである。
したがって、モーター駆動のあるクルマであれば、回生を活かしたワンペダル操作を積極活用すべきだ。日産によればワンペダル操作を行うことでペダルの踏み替えを7割減らせるという。上手にできるようになれば、もっと減らせる人がいるかもしれない。また、ペダル踏み替えのために足を持ち上げようと構える姿勢や、心構えの機会がワンペダル操作によって減る分、疲れにくくなり安心も高まる。
旧型のプリウスでも回生が効く「B」レンジ使えば安全&安心
私は、13年も前のプリウスに乗っているが、その時代はまだワンペダルという言葉さえなかった。しかし高齢になり、万一の判断の遅れや操作の遅れが気掛かりで、とくに市街地での運転では「D」ではなく「B」レンジを選んで運転している。それによって、停止まではできないまでも、通常の走行ではワンペダル的な運転ができる。Bレンジでは回生が強まるからだ。しかも、頻繁に回生を利用することでニッケル水素バッテリーへの充電量が増え、オンボードコンピュータ上の燃費も向上した。
同乗者にも快適で、高齢者の運転にも安心をもたらし、なおかつ燃費を改善できる回生を活かしたワンペダル操作は、もっと認知されるべきであり積極利用する利点は多い。身に沁みついた運転をよしとするのではなく、よりよい運転を目指し、ワンペダル操作を身に着けることは運転の喜びさえもたらす快適運転術だ。