車内に泊まるかテントに泊まるか……どちらも魅力的だが
家族との時間を楽しむためにミニバンを手に入れた……という人も多いはず。そうなると、せっかくのミニバンを有意義に使うため、頭に浮かぶアクティビティの代表格がキャンプであり、キャンプを始めるとすれば「ミニバンらしさを活かした車中泊」か「キャンプらしさ満点のテント泊」か……という問題があるだろう。ここでは車中泊orテント泊でお悩みの方々に向けて、アドバイスをお届けしたいと思います。
まずはオートキャンプ場でテントを借りてみる
今回、編集部から課されたお題は「ミニバンを所有している人がキャンプを始めるには車中泊とテント泊のどちらを選ぶべきか」というもの。確かに、ミニバンオーナーが初めてのキャンプとして頭をよぎる問題ですが、個人的な意見を述べさせてもらうのであれば『両方』というのが本音です。
キャンプは自然と対峙する素晴らしい趣味であり、その楽しみ方は十人十色。それぞれが「楽しい」と感じることがキャンプの醍醐味でもあります。イメージや固定概念に囚われてしまい、経験をすることなく方向性を導き出すよりも、経験をしてから取捨選択していくことがキャンプの楽しさを向上させる秘訣なのです。
ミニバンありきで考えると気軽に宿泊ができる「車中泊」は大きな武器になりますが、やはりテント泊を経験することも重要です。まずはお試しとしてキャンプ場に併設されているレンタルショップを探し、レンタルテントを活用することをおすすめします。オートキャンプ場では乗り入れたクルマの横にテントを張ることができるので、「車中泊」と「テント泊」を家族でシェアしながら楽しんでみましょう。
今日はパパと息子、明日はママと娘が順番で両方を経験し、テント泊の楽しさで盛り上がったのであれば、それからテントを購入する決断を下しても遅くはありません。逆に、テント泊を経験したからこそ家族が求めるテントの広さや快適性などが理解でき、家族会議を開いてテント選びを楽しむことができるのです。
ロックできて防犯性が高い車中泊も魅力
テント泊に対する憧れはキャンプならではのものですが、なかにはアウトドアが好きでもテント泊が苦手……という人も存在します。ボクの友人に“釣りの達人”ではありながらもテント泊が苦手な男がおり、友人は「布一枚で鍵の掛からないテントに泊まるのが嫌。野犬や知らない人が来たら思うと怖くて寝られない。だから俺はクルマに泊まるんだ」と熱く語っていました。しかし、その友人は酒を飲むと駅や公園のベンチで寝てしまう癖があり、個人的にはテント泊の方が安全だと思うのですが(笑)。
まぁ酒癖は別として、友人と同じような考え持つ人も決して少数派ではなく、テント泊が苦手な人は車中泊をより快適に行うように楽しむ選択をすれば良いのです。予算的に余裕があるのなら、屋根の上に取り付けるルーフテントやポップアップテントを装備したミニバンを選択するという手段も残されているので検討してみましょう。
テント泊の魅力は大地と大空の下で夜を過ごすことです。テントという非日常の空間に包まれながら眠りに付くのは至極の時間。ホテルや旅館、ログキャビンのような快適な部屋で寝るのも悪くありませんが、日常生活では味わえない刺激はテント泊ならではのものであり「テントで寝たいがためにキャンプに行く」という人も多いのではないでしょうか。
大工さんや一部の熱狂的DIYフリークでない限り自分の手で自分の家を建てるのは不可能ですが、テントであれば自分の城を建てる喜びが味わえます。自分の城を自分の手で建て、一国一城の主として本丸で過ごす時間は格別なものになるはずです。
楽しみたいアクティビティなどに合わせて選ぶのがベスト!
では、テント泊と車中泊のメリットとはどんなものなのでしょうか? 車中泊はクルマという全天候型の防水シェルターを使うことで、テント泊よりも快適性が高く、ドアをロックできるので防犯対策も万全ということ。また、テントを設営・撤収する手間がなく、天候の悪化や非常時にはすぐに移動できるフットワークの軽さも大きな武器になります。
一方、テント泊は前項にも記したように自然を身近に感じられるのが大きな魅力。そして「テントに泊まっている=キャンプをしている」という充足感と興奮こそがテント泊の醍醐味なのです。
今回のお題として取り上げた「車中泊」と「テント泊」は、どちらを選ぶのではなく、場所やシーンによって使い分けるのがベストな方法だと思います。オートキャンプ場に腰を据えてキャンプを楽しむのなら「テント泊」、観光やグルメ旅を目的として移動を繰り返すのなら「車中泊」……というように、臨機応変に対応することで楽しさは倍増します。
編集部から出されたお題は「どっちがおすすめ」というものでしたが、個人的には「どっちもおすすめ」になってしまいました。キャンプには正解はなく、個人の好みに合わせて楽しむことが大切です。まずは固定概念にとらわれず、とりあえず経験をしてみましょう。